映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」感想

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 昨日、浦和コミュニティセンターで映画「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」の上映会(県南・石川一雄さんを支援する会主催)。その「前座」で、狭山弁護団からの報告をしてきた。狭山事件の支援者ではないと思われる一般の市民の方が多数参加されていたようで、よかった。
 報告後、私も映画を観る(2回目)。何度観ても、いい映画だ。特に、沈黙を通じて、言葉では語れないことが語られているのがいい。再審無罪を勝ち取るまで両親の墓参りをしないという石川一雄さんに、連れ合いの早智子さんが墓参りをすることを勧める。一雄さんが沈黙し、一瞬泣き顔のような顔になる。この沈黙の時間に、観客は色々なことを考え、感じる。
 一雄さんのお兄さんの六造さんとその連れ合いのウメ子さんの会話もいい。それまで雄弁に語っていた六造さんが、「(ウメ子さんに)苦労をさせて悪かったと思っているよ。」と言って沈黙する。さりげなく、ウメ子さんが、「遠い昔のこと。みんな忘れた。」と返す。
 早智子さんは、亡き祖父との、部落差別に反対する活動についての会話を想い出し、「余裕がなかったんだね。あんなこと言わなければよかった。『おじいちゃんもがんばってきた。私は私で頑張る。』と言えばよかった。」と言って沈黙する。
 ここには、冤罪と闘い、部落差別と闘う心優しき人たちがいる。映画のなかの沈黙の時間が、そのことを観客に語りかけてくれる。差別や冤罪は、人の人生を壊そうとするが、差別や冤罪との闘いは豊かな人間性を作り出しているように思う。
 一雄さんは、無罪を勝ち取ったら、ケニアに行って、自由に走り回っている動物が見たいという。そういう日が一日も早く来るように頑張らねばと思う。
SAYAMA みえない手錠をはずすまで 公式HP
http://sayama-movie.com/

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