「ハードルの高いソク独を成功させた」弁護士

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私は、いわゆるソク独(即独)弁護士である。ソク独とは、司法研修が修了し、弁護士登録と同時に、即、独立して、事務所を開設する弁護士のことである。私が、弁護士登録した2007年頃から、無理な弁護士増員(激増)のため、弁護士になっても就職できない弁護士が増え、「ソク独」という言葉も生まれた。私は、この無理な弁護士激増は、弁護士の自律性と弁護士会の独立を危うくするものであると考えて、弁護士激増反対運動に参加してきた。そのため、弁護士登録当時は、「ソク独」弁護士として、マスコミの取材を受けることが多かった。その際、弁護士激増により、多くの「ソク独」が苦労していることを話したため、日本で最も貧乏で困窮している弁護士であるかのように書かれてしまうことがあった。

そこで、「週刊東洋経済」から取材を受けたときに、「私のことを貧乏弁護士と書かないで下さいね。私自身は、それなりに何とか事務所運営をやっているんですから。」と話したところ、同誌2010年5月22日号で、「ハードル高いソク独を成功させた指宿昭一弁護士」「『ソク独』ながら事務所経営を無事軌道に乗せた」と紹介していただいた。「ボス弁の顔色をうかがう必要もなく自らの志を持って仕事に取り組めることは、弁護士の醍醐味だろう。」とのコメントも。

同誌の影響は予想外に大きく、多くの弁護士から、「読みましたよ。」「『ソク独』で成功されたそうですね。」と声をかけていただき、時々、司法修習生がソク独の秘訣を聞きに来るようになった。

私としては、事務所が維持できる程度に何とかやっていると答えたつもりだったのでちょっと驚いたが、よく考えてみると、「自らの志を持って仕事に取り組め」ていること自体が、私にとっては何よりも成功だと思う。これからも、志を大切にして、事務所を維持、発展させていきたいと思う。

以上

暁法律事務所 指宿 昭一

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