広島江田島・技能実習生による殺人等被疑事件について

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3月14日、広島県江田島市のカキ養殖会社「川口水産」で8人が殺傷され、殺人などの容疑で中国人技能実習生が現行犯逮捕された事件で、複数のマスコミから取材を受けました。TBSテレビ・Nスタ、フジテレビ・スーパーニュースは電話取材、フェニックステレビ(香港)は撮影を伴う取材でした。他からもたくさんの問い合わせがありました。何とも、やりきれない気持ちで、取材を受けました。

2006年8月19日、養豚場で働いていた中国人研修生が受入団体の役員らを殺傷してしまった木更津事件が起こっていますが、また、不幸な事件が起こってしまいました。残念ながら、研修・技能実習生が受入団体や同僚を殺傷した事件は、他にも数件あります。逆に、技能実習生が職場の同僚から暴行され死亡にいたったという事件もあります(2011年10月の銚子事件)。

通常、どんなに職場で追い詰められたり、孤立しても、経営者や同僚を殺害するに至ることはありません。それほど、追い詰められたり、孤立したら、その職場を辞めるか、誰かに相談して、会社に改善を求めるでしょう。しかし、多くの技能実習生は、職場を辞めることができず、転職もできず、相談もできません。多くの場合、借金をして、多額の費用を支払って日本に来ているので、途中でやめることができないのです。また、制度上、転職はできません。公的機関や労働組合や弁護士に相談をしたことで、強制的に帰国させられる事例もあります。受入機関や送り出し機関に改善を求めても、送り出し国で結んだ契約に基づいて拒否され、保証金の没収や違約金の支払い等で脅されます。彼らは、構造的に奴隷的状況におかれ、強制労働や人身売買(労働搾取)と言わざるを得ない状況にあるのです。

この事件で亡くなった被害者のご遺族にお悔やみを申し上げます。

このような不幸な事件を二度と起こさないためには、即刻、技能実習制度は廃止すべきです(日本弁護士連合会「外国人技能実習制度の廃止に向けての提言」http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110415_4.html参照)。技術移転を通じた国際貢献という目的はまやかしにすぎず、この制度は安価な労働力(チープレイバー)を確保し、受入機関(特に監理団体やブローカー)が中間搾取を通じて暴利をむさぼるための制度として機能しています。農業、縫製業、水産加工業などにおける労働力確保は、他の手段によるべきです。そのために、未熟練の外国人労働者を受け入れる必要があるなら、彼らの人権と労働者としての権利がしっかりと守られる制度を作るべきです。

フェニックステレビ(香港)報道

http://v.ifeng.com/news/world/201303/dcc94b74-2cf0-4421-bb93-f43f3117f6b1.shtml

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