賃金等請求事件で勝訴(農事組合法人大松農場ほか事件)

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 先日、農事組合法人大松農場事件(千葉地裁八日市場支部平成27.2.27)で勝訴判決を得ました。

 この判決の特徴は、

①農業(養鶏業)に従事する原告X2は、労基法41条1号・別表1第7号に該当し、労基法上の労働時間及び休日に関する規定が適用されないが、これは強行法規である労基法の規定を除外するものであり、労基法92条の文言も就業規則と他の規範との定食を念頭に置くものであると解されるから、適用除外の定めが同条の対象とする「法令」に該当するとは考えらないから、原告には就業規則上の労働時間及び休日に関する規定が適用されるとした(争点(2)アP25~)
*当然の結論なのですが、白石哲編「労働関係訴訟の実務」(商事法務)P137に「労基法41条2号の規定が強行法規であり、これに反する就業規則、労働協約の定めは効力がないことをふまえた上で・・・」という記述があり、これを就業規則の労働時間及び休日に関する規定まで適用排除されると読めば、逆の結論もあり得るという考えもありえるのかもしれません(私はありえないと思いますが。)。この点について初めて判断した判例ではないかと思います。

②農事組合法人Y1がX5に対して、「悪いようにはしない。」と言っただけで、X5につき賃金額等の労働条件を定めず、Y1が居住場所を提供し、光熱費を支払い、労働者が業務への従事を開始した場合に、一定内容の雇用の合意が成立したと認定した。賃金額については、従前の雇用先において受領した給与月額10万円の範囲で認定できるとした(争点(5)P33~、P20~)。

③株式会社Y2と雇用契約を締結した原告らが、労務の大部分を農事組合法人Y1に提供し、また、Y1とY2の経理が厳密に区別されてこなかった結果、各賃金支払いもY1・Y2いずれからも支払われてきた場合に、各雇用契約は、黙示には、Y2のみならずY1との間でも締結されていたととらえることができるとし、法人格否認の法理を適用するまでもなく、Y1にも原告らが雇用されていたと認定でき、Y1とY2の債務の関係は商法511条1項により連帯債務と解することができるとした(争点(6)P36~)。

の3点です。

 原告らに対して賃金を支払う必要はないと主張し続けてきた被告らに対し、判決は被告らに対して約1550万円の支払いを命じました。

 

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