「業務委託」契約の宅配運転手が労働者性を主張して提訴

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 労働事件提訴/(株)愛永・ファルコンエキスプレス事件
 「業務委託」を理由に運転手の賃金から控除された交通事故損害金等相当分等を請求して提訴
■事案の概要
1 原告(20代の青年労働者)は2013年春もしくは初夏頃に、軽貨物運送の宅配運転手として株式会社愛永に入社(雇用契約)。
原告の賃金から、誤配を理由に「違約金」合計6万円が控除された(労基法24条1項・賃金全額払原則違反)。
  原告は(株)愛永を、2014年3月末日に退社。
2 原告は、2014年4月1日から、(株)愛永を独立したA(商号:ファルコン・エクスプレス)に雇用される。「日当1万2千円、10%を引く(Aが仕事を回しているから)。」という契約。Aは、「ドライバー会員契約」を根拠に、業務委託であることを主張している(実態は労働契約である。)。
3 Aは、原告との合意なく、勝手に給与から「リース、保険、立替金、ガソリン」を控除。同年4月~7月の控除合計額が約49万円(8~9月分は不明)(労基法24条1項・賃金全額払原則違反)。
4 Aは、原告の車両事故、事実無根の「横領」を理由に、45万円7千円を給料から控除すると主張して、原告の同年7~9月分の賃金を支払わない(労基法24条1項・賃金全額払原則違反)。
5 原告は、車両事故及び横領の件で、愛永社長ら役員、Aに呼び出され、損害額のうち30万円を一括払いするように脅迫された。精神的損害(慰謝料)は100万円を下らない。
6 原告は、日本労働評議会(労評)に加入し、愛永及びAに対して団体交渉を申し込んだが、愛永及びAは団体交渉を拒否。労評は神奈川県労働委員会に、団交応諾を求める不当労働行為救済を申立て。その後、団交が開催されたが、愛永及びAは賃金等の支払いを許否。
7 原告は、2015年12月8日、横浜地裁に、愛永及びAに対して、賃金及び慰謝料197万3623円を請求する訴訟を提起した(訴訟代理人弁護士は指宿昭一)。
■本件の意義
 運輸業界では、運転手の賃金から、違法に「違約金」、損害金、リース料、自動車保険料立替金、ガソリン代等を控除するということが横行している。その際、「業務委託であり、雇用(労働)契約ではない。」という理由が使われる。このような状況に対して、運転手が労働者であることを前提に、不当に控除された賃金を請求する訴訟である。

原告の青年と一緒に

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