国際自動車(国際労供ユニオン)事件で勝利命令

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昨年12月10日、国際自動車(国際労供ユニオン)事件で勝利命令を得ました。代理人は谷田和一郎弁護士と指宿です。

国際自動車事件(平成29年不第45号事件)平成30年12月10日
 会社が、組合と労働者供給に関する基本契約(タクシー乗務員の定年後雇用について、労働組合が会社の申し出に応じて組合員を供給すること等を内容とする契約)を締結しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合活動に対する支配介入に当たるとして、救済された例。

命令概要
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2018/meirei29-45.html

命令詳細
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2018/meirei29-45_besshi.html

判断の要旨
⑴  会社がX組合との基本契約の締結を拒否した本当の狙いは、X組合が取り組んでいる未払賃金訴訟提起の組合活動を阻害し、その中心人物である執行委員長を会社から排除するとともに、未払賃金訴訟の原告となっている同労組の組合員らに対して定年後に再雇用しないという不利益を与えることであるとみるほかない。

⑵  会社は、X組合が組合に影響力を及ぼしているものと考え、X組合を嫌悪したのと同じ理由で組合を嫌悪するとともに、組合の組合員が全員未払賃金訴訟の原告となっていることから、未払賃金訴訟提起の活動を阻害し、その原告である組合員らに対して定年後に再雇用しないという不利益を与えることを企図して、組合との基本契約の締結を拒んだものといわざるを得ない。

⑶  会社は、組合とX組合は実質的に同一であると判断し、基本契約の締結を拒否したと主張する。

  そもそも、会社がX組合との基本契約締結を拒否することに合理的な理由は認められないから、X組合と組合が実質的に同一であったとしても、基本契約の締結を拒否する理由とはならない。

  組合は、独自の規約をもち、執行委員長等の役員を選出し、執行機関、決定機関を有する等自主性を持ち、独自の財源を持ち、独自の活動を行っているもので、独立した組合と認められる。

⑷ 不当労働行為の成否

会社は、未払賃金訴訟を提起した組合員らを会社から排除するために、およそ合理的とはいえない理由を述べて組合との基本契約を締結しなかったものといわざるを得ない。この会社の対応は、未払賃金訴訟の提起という組合活動を阻害し、組合に不利益を与えるものであり、個々の組合員に対しても定年後の雇用が奪われるという不利益を与えるものである。

したがって、会社が、組合と基本契約を締結しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合活動に対する支配介入に当たる。

 

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