陸上自衛隊員退職金支払差止め処分取消訴訟提訴

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本日、以下の事件を提訴しました。

陸上自衛隊員退職金支払差止め処分取消訴訟提訴
  ~軽微なミスを「詐欺又は窃盗」(疑い)として、退職金が支払われなかった事例~

【事案の概要】
1 原告の経歴
原告は、84年4月、陸上自衛隊に入隊し、数か所の駐屯地等の勤務を経て、16年3月から北区の陸上自衛隊十条駐屯地に所在する補給統制本部総務部管理給食班に所属し、19年8月14日、陸上自衛隊を定年退職した。
2 2つの差止処分とその理由
本来、原告には、法律により「退職手当」「若年定年退職者給付金」が支払われるはずであったが、陸上自衛隊補給統制本部は、「退職手当支払差止処分」「若年定年退職者給付金差止処分」を行い。原告に支払われるべき上記手当、給付金の支払いを差し止めた。
陸上自衛隊補給統制本部が手当、給付金の支払いを差し止めた理由は、原告が、職務として担当していた「有料喫食申込申請」手続きでミスを行い、結果的に申込数以上の者が「有料喫食」を行ったことが、原告の「窃盗罪」「詐欺罪」に該当する恐れがあるから、「国家公務員退職手当法」「防衛省の職員の給与等に関する法律」で、手当、給付金の支払いを差し止めたというものである。
この「有料喫食申込申請」とは、自衛隊員が、駐屯地等で給食(有料)を受給する場合、各自が有料で給食を受給する日時を事前に申請し、その申請を基に各自から給食費を徴収するための「申請」手続きのことである。
3 あり得ない「詐欺又は窃盗」の疑い
原告は、この「有料喫食申込申請」手続きを職務として担当していたが、作業ミスにより申請数を誤っていたことが後日判明し、これが「有料喫食申込の過少申請」であり、「窃盗罪」「詐欺罪」に該当する恐れがあるとされ、退職金の支払いが差し止められたのである。
しかし、作業手続き上のミスにより有料喫食申請数を誤ったことが、故意犯である窃盗罪、詐欺罪にあたる恐れがあることあり得ず、調査に当たった自衛隊の警務隊員も、「犯罪として問われるようなことはないと思います。」と原告に説明している。
本件は、陸上自衛隊内における原告に対するパワハラである。明らかに犯罪にならない行為を犯罪の疑いありとして、退職金の支払いを差し止められてしまい、原告とその家族は困窮している。この職場には、同様の問題があり、今後、他にも被害者が出てくる可能性がある。原告は、自らの退職金支払いを求め、また、職場で同じ問題が繰り返されないことを願って、提訴を決めた。

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