昨日(2025年4月16日)、ビッグモーター(国・八王子労基署)事件(労災不認定取消訴訟)の第1回口頭弁論がありました。
多くの方が傍聴支援に駆けつけてくださいました。原告は、意見陳述を行いました。
次回期日は、6月27日(金)10時、東京地裁526号法廷です。
東京新聞が今朝の朝刊で報道してくれています(↓)。弁護士JPニュースの記事も出ました(↓)。
息子の自殺は、旧ビッグモーターに「人格否定と退職強要されたから」…両親は労災不認定取り消しを求めるが:東京新聞デジタル https://www.tokyo-np.co.jp/article/398975
ビッグモーター新卒入社後2か月で自死も「労災不支給」国に見直し求め遺族らが意見陳述 東京地裁 弁護士JPニュース
https://www.ben54.jp/news/2155
意見陳述
2025年4月16日 原告
「役に立ちたい」「恩返しがしたい」との思いで、息子は新卒入社後の1か月間、誠実に業務に取り組んでいました。店長から信頼され、近隣への引っ越しを勧められるほどであり、5月の面談ではお客様から感謝の言葉をかけられるなど、人間関係と信頼を築きながら仕事にやりがいを感じていたようです。免許未取得についても、自らの準備不足を真摯に受け止め、教習所再開を心待ちにして前向きに努力していました。
そうした中、環境整備点検の日に、息子は突如、人格を否定するような言葉を受け、「存在していなかった人物」のように扱われ、まるで会社から追い出されるかのような形で即日退職に追い込まれました。5月8日には、店長が「自分の責任で育てたい」と石橋営業本部長に伝えていた一方で、人事部からは「免許取得済みと虚偽申告をした」「会社を欺いた」などと厳しく断定され、退職処分が下されたのです。
息子は、免許未取得を正直に店長へ報告し、誠実に勤務していました。それにもかかわらず、その事実確認もなされないまま、一方的に虚偽申告とされ、深い戸惑いや悔しさを抱えたと思われます。退職後のアパートの様子からは、その苦しみがうかがえました。わずか1か月間の努力を正当に評価されず、まるで悪意ある人物のように扱われたことは極めて不当であり、若者の誠意と努力を踏みにじる対応は許されるべきではありません。
中島人事部長の発言や対応には、事実と異なる説明が含まれています。審査請求時に提出した録音反訳では、中島氏が「免許取得済みと虚偽報告したことが退職の主因」と説明し、会社が提出した経緯文書でも同様の記載があります。しかし、実際には息子は4月初旬に店長へ未取得を報告しており、「虚偽の申告」という事実は確認されていません。中島氏はその点を知らず、憶測に基づいて「嘘をついた人物」との評価を営業本部長らに伝えています。
さらに、「虚偽報告をした」という表現は中島氏以外の関係者からは確認されておらず、退職経緯を記した文書も、責任の所在が不明なまま、主観的情報に基づく名誉毀損的な内容が含まれています。これらの表現が、息子にとって大きな精神的負担となったことは想像に難くありません。
また、労働基準監督署の聴取では、入社前の免許確認体制に不備があったことも明らかになっています。にもかかわらず、中島人事部長は一度も息子と話をせず、「また聞き」によって、「平気で嘘をつく人物」など、著しく否定的な人物像を作り上げています。会社はこうした極端な評価に基づき、被災者の死に至る経緯について正式な調査を一切行っておらず、非常に不誠実かつ一方的な対応と言わざるを得ません。
さらに、退職勧奨に関する発言にも不整合があり、中島氏は父親である私には「会社判断で退職勧奨を行った」「営業本部長が最終的な判断をした」と説明する一方、労基署には「他の人物が勧奨した可能性もある」、「退職勧奨の経緯については把握していません」と述べており、判断の経緯が曖昧です。調査においても、処分を行ったとされる営業本部長の石橋氏や最終責任者である兼重氏に対する聴取が行われておらず、極めて不透明であることから、改めて公正かつ客観的な判断を行うための関係者への事実確認が必要です。
最後に、店長が息子に対し、2度にわたり再雇用の話を持ちかけてくださったことは、息子の本来の姿と誠実さを物語るものであり、最初から正しい目で接してくださっていれば、息子は救われていたのではないかという思いが今も消えません。
息子の死は、人格否定を伴う退職強要を原因とするものです。労災認定をしなかった労基署の判断は間違っています。この裁判で、真相を明らかにして、ぜひ、間違った判断を覆してください。
以上