コラム

外国人労働者受け入れ問題と非正規滞在外国人問題はどういう関係にあるか?

2020-03-24

 外国人労働者受け入れ問題と非正規滞在外国人問題(収容・送還問題)に取り組んできて、この2つの問題がどうつながるのか、はっきりとわからなかった。それが、先日、メディアの取材を受けていて、回答しながら、ぴったりとつながった。
 取材は、外国人労働者受け入れ問題がテーマだった。私は、技能実習制度を廃止して特定技能に一元化し、そして、特定技能において送出し国における中間搾取をなくすために、労働者のリクルートを民間ブローカーに任せないで、日本と送出し国の政府が二国間協定を結び、二国間でハローワークのような制度(これは、韓国の雇用許可制をモデルにした制度である)を作るべきだと主張した。記者は、「民間ブローカーが排除されると、日本に来る外国人労働者がいなくなるのではないか?」と質問してきた。確かにそうだ。技能実習制度の送出し機関は、不当な中間搾取をして、技能実習生の数年分の年収に相当する金額(ベトナムの場合、年収の4年分。日本円で約100万円程度)を支払わせている。これがあるから、ブローカは必死で人を集めて、日本に送り込むのである。だからこそ、今、38万人の技能実習生が日本で働いているのだ。これがなくなったら、縫製業、農業、建設業、食品加工業等、多くの産業で人手不足になる。また、少子化の進む日本の将来を考えた時に、日本に来てくれる外国人労働者がいなくなってしまうかもしれず、これは、日本の社会にとって由々しき事態である。
 しかし、中間搾取をするブローカーをのさばらせ、外国人労働者の犠牲の上に、日本社会が外国人労働者を確保するというのは間違った政策である。これは直ちにやめるべきである。これを止めた時、我々は何を考えなければならないのか?
 中間搾取をするブローカーによる日本への送出しがなくなった時、日本に来たいという外国人労働者はいるだろうか? いるかもしれない。しかし、日本は外国人労働者にとって住みやすい国、働きやすい国ではない。特定技能も様々な欠陥がある。多文化共生政策は、各自治体の努力による意義のある取り組みはあるものの、日本全体で考えるとまだまだである。第一、日本政府は、「移民政策は取らない」という訳の分からないことを言っている。そして、万が一、外国人が在留資格を失ったとき、日本は地獄のような国である。日本の在留資格のない外国人、すなわち非正規滞在者への対応は人権も人道もない、凄まじいものである。私は、日本の外国人には人権が保障されていないと思っている。なぜなら、マクリーン事件最高裁判決は、外国人の人権を在留制度の枠内でだけ認めると言っているからだ。これは、本来の意味での人権ではない。これが、最も表れているのが、非正規滞在外国人に対する政策、特に収容・送還政策である。
 これまで、日本の国家も社会も企業もそして市民も、本気で多文化共生政策を進めなければならないというインセンティブを持っていなかった。しかし、外国人労働者が日本に来てくれなくなるとなれば話は別である。本気で多文化共生政策を進める。そして、その前提として、非正規滞在者を含めた外国人の人権を保障すること。そういうことを行わなければ、日本に外国人労働者は来てくれなくなる。そういう危機意識を日本の国家も社会も企業もそして市民も持つべきではないのか。
 これが、私が気づいた、2つの問題の結合方法である。

映画『抗い 記録作家 林えいだい』を観る

2017-05-06

昨日、メイシネマ祭’17で、ドキュメンタリー映画『抗い 記録作家 林えいだい』(西嶋真司監督、グループ現代制作・配給)を観た。映画は、えいだいさんの父親が、炭鉱から逃亡してきた朝鮮人労働者を助けたことから特高警察の拷問を受けて命を落としたというエピソードから始まる。学生時代には、足尾銅山事件の田中正造に影響を受け、大学中退後、北九州で公害反対運動、朝鮮人強制労働、炭鉱・港湾労働等を記録し、執筆していく。終戦間際の特攻機「さくら弾機」の放火事件で犯人として、朝鮮半島出身の特攻隊員が銃殺された事件が冤罪だったことを突き止めるシーンは圧巻。
いい映画だった。ガンに侵されながらも、万年筆を指にセロテープで巻き付けて原稿を書き続けるえいだいさんから、力をもらった。ぜひ、多くの人に観てもらいたい。
この映画を上映してくれた映画祭の実行委員会に感謝。このドキュメンタリー映画の自主上映会は20年以上続いているそうだ。今後も、ぜひ、継続していただきたい。また、来年も観に行きたい。

ドキュメンタリー映画『抗い 記録作家 林えいだい』公式ホームページ 
http://aragai-info.net/

メイシネマ祭 ’17 『抗い 記録作家 林えいだい』の上映 – Facebook
https://www.facebook.com/events/619170061620234/

メイシネマ祭の原点を語ろう〜主催者・藤崎和喜さん
http://webneo.org/archives/42450

下高井戸シネマ「オキュパイ・シャンティ」上映報告

2017-04-19

昨日、下高井戸シネマで「オキュパイ・シャンティ〜インドカレー店物語〜」上映。終了後、松原明監督とトーク。
終了後、たくさんの観客から声をかけられる。女子学生がボロボロ涙をこぼしながら、感想を述べてくれたのが印象的だった。
22日にも板橋で上映会があるとのこと。こちらは松原監督がトーク。

優れたドキュメンタリー映画を観る会 vol.33
“夏の嵐のあとに” (下高井戸シネマ)
http://www.shimotakaidocinema.com/schedule/tokusyu/doc.html

2017/04/22 『オキュパイ・シャンティ~インドカレー店物語』上映会(東京・板橋)
http://www.labornetjp.org/EventItem/1491822994608staff01
『オキュパイ・シャンティ~インドカレー店物語』上映と制作者・松原明氏のお話

4月22日(土)18時~20時

板橋区立グリーンホール501会議室
(東上線「大山」10分・メトロ「板橋区役所前」10分)
*会場名「共学舎」

主催 城北地域労働組合協議会 03-3973-6150

無料 どなたでも参加できます。

トランプの入国禁止を批判できない安倍首相

2017-02-01

トランプ大統領の入国禁止を批判できない安倍首相。日本では、日本生まれで本人には全く責任のないタイ人中学生(当時)ウティナン君に対して、退去強制令を出しているんだから、批判できないのはある意味当然。
今度、高校生のウティナン君は、法務大臣に在留特別許可を求める再申請をした。法務大臣は速やかに認めるべき。大丈夫。これを認めても、安倍首相は、あなたを解任なんかしないから。

30日にアベマプライム(テレビ朝日系のインターネットテレビ・アベマTVの番組)で、ウティナン君の近況を報道。今なら、動画が観られます。

国外退去命令のタイ人少年 「僕を日本にいさせてという願いをずっと出していこうと思う」Abema TIMS
https://abematimes.com/posts/1959825

謹賀新年

2017-01-01

法律事務所設立から9年4ヶ月が経過しました。2015年12月に入所した中井雅人弁護士は、本年1月1日付で独立し、大阪で新事務所(私の事務所と同名の「暁法律事務所」)を設立します。
昨年は、インドカレー店「シャンティ」でインド人を中心とした労働者が結成した労働組合を支援しました。賃金未払いと倒産問題に取り組む労働組合の闘いはマスコミでも大きく報道され、希望者全員の再雇用実現という解決をみました。この事件の記録が、「オキュパイ・シャンティ」というドキュメンタリー映画になり、年末に初上映されました。
2012年5月に提訴した、タクシー会社Kmグループ国際自動車への残業代請求訴訟は、本年1月31日に最高裁で口頭弁論が開かれ、いよいよ判決を迎えます。多くの運輸労働者に影響を与える重要な判決になりそうです。
 本年もよろしくお願いします。   2017年 元旦
〒169-0075東京都新宿区高田馬場4-28-19
            きりしまビル4階 暁法律事務所 
 弁護士 指宿 昭一
電話03-6427-5902/FAX03-6427-5903
e-mail:ibu61@nifty.com   HP :https://www.ak-law.org/

*中井弁護士のHP
https://www.ak-osaka.org/

関東ブロック労委労協で「最近注目の労働関係の判例、命令の解説」の講師

2016-10-10

10月8日、関東ブロック労委労協で「最近注目の労働関係の判例、命令の解説」の講師として4つの判例と1つの命令について報告させていただきました。
労委労協は、全国労働委員会労働者側委員連絡協議会の略称。今回は、その関東ブロックの研修会でした。

第1講座は、元判事の草野芳郎(前学習院大学教授・弁護士)先生の「労使紛争の和解の進め方」。ここから参加して、勉強させていただきました。

第2講座が、私の担当。以下の判例、命令を報告しました。

1 長澤運輸事件(東京地判平28.5.13労判1135号11頁)
2 ハマキョウレックス(差戻審)事件(原審・大津地裁彦根支判平27.9.16労判1135号59 頁、控訴審・大阪高判平28.7.26判例集未掲載)
3 きょうとユニオン(iWAi分会・仮処分)事件(大阪高決平28.2.8労判1137号5頁、京都地決平27.10.16労判1137号14頁)
4 国際自動車事件(東京地判平27.1.28労判1114号、東京高裁平27.7.16労判1132号)
5 日本放送協会事件(中労委平27.11.4別中労時1493号16頁)

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コミュニティ・ユニオン全国交流集会inひろしまに参加

2016-10-04

10月1日から2日、第28回コミュニティ・ユニオン全国交流集会inひろしま~希望としてのユニオン・明日へ!~にに参加。全国から約70団体、320名が結集。
韓国の希望連帯労組の報告、広島電鉄全正社員化の経緯と成果につき私鉄中国地方労働組合広島電鉄支部執行委員長・佐古正明氏の報告、争議報告、どれも、刺激になり、勉強になった。
分科会は「活用しよう!労働委員会と労働審判」(第6分科会)に参加。労働委員会や労働審判をしっかりと利用し、問題に取り組んでいる労組活動を知り、元気づけられる。
初日終了後には、終了後、ユニオンの研究者とユニオン活動家たちとカキで一杯。

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「きょうとユニオン(iWai分会・仮処分)事件」について報告

2016-09-13

 昨日、労働弁護団の労働判例研究会で、「きょうとユニオン(iWai分会・仮処分)事件」について報告をしました。職場占拠に伴うストライキに対して、会社が不動産明渡し等を求めて仮処分を申し立て、認められなかったという事件です。一審では、保全の必要性が否定されましたが、抗告審では、さらに争議行為の正当性が正面から認められました。
ストが減ったとはいえ、ストは労働者・労働組合の最後の切り札です。そして、ストを支えるピケや職場占拠やボイコットを含めた争議権を憲法28条は保障しています。しかし、従来の裁判例は、ストを支える争議手段の正当性を狭く解釈してきました。この決定は、職場占拠の正当性を比較的広く認めるものとして、重要な価値があると思います。
 興味のある方は、「労働判例」1137号掲載の決定及び「季刊・労働者の権利」314号(春号)「権利闘争の焦点・百数十日に及ぶ職場占拠を伴うストライキに争議行為の正当性を認めた事例」(塩見卓也弁護士)(109P)をお読みください。
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「季刊・労働者の権利」で特集「労働運動の新展開」

2016-08-13

 私は、日本労働弁護団の機関紙「季刊・労働者の権利」の編集に関与していますが、担当の夏号(315号)で「労働運動の新展開―ユニオン運動の模索―」という特集を組みました(特集Ⅲ)。
 日本の労働運動の弱体化に対して、ユニオン・合同労組の運動が新たな道を切り開くといわれて久しいですが、ユニオン運動も組織化等の課題を抱え、模索が続いています。その模索のいくつかの取り組みをこの特集で紹介しました。関西生コンや総合サポートユニオンによる業種別職種別労働運動の取り組み、アメリカのコミュニティ・オーガナイジング(住民組織化)の手法を取り入れているプレカリアートユニオンの取り組み、最低賃金大幅引き上げキャンペーンによる新しい質を持った労働運動の構築と反貧困運動の再起動の取り組み、労働相談から職場の合同労組支部建設を連続的に勝ち取っている東京東部労組の取り組みの4つを取り上げました。
 労働弁護団は労働者側の弁護士の組織ですが、我々仕事は法廷だけにあるのではなく、労働運動と結びつき、その発展のために尽力することも大事な仕事だと思います。今回の特集を通じて労働弁護団内外で、労働運動の発展のための議論が巻き起こることを期待しています。
 
 「季刊・労働者の権利」は一般の書店では販売していないので、購入希望の方は、労働弁護団本部までファックスで申し込んでください。1冊でも購入できますが、ぜひ、年間購読をご検討ください。
 注文用FAX用紙↓
 http://roudou-bengodan.org/books/docs/%E3%80%8C%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E3%81%AE%E6%A8%A9%E5%88%A9%E3%80%8D%E6%B3%A8%E6%96%87%E6%9B%B8.pdf

季刊・労働者の権利 315号(2016年7月発行)
特集Ⅲ 労働運動の新展開-ユニオン運動の模索-
 ① 業種別職種別ユニオンの構想  木下武男 労働社会学者(元昭和女子大学教授)
 ② コミュニティ・オーガナイジングとユニオン運動  清水直子 プレカリアートユニオン執行委員長
 ③ 「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」と「新しい質をもった労働運動」の構築と「反貧困運動の再起動」  河添 誠 「最低賃金大幅引き上げキャンペーン」委員会事務局メンバー/元首都圏青年ユニオン書記長
 ④ 労働相談から職場の合同労組支部建設へ 須田光照 全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合書記長

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労働カフェのすすめ

2016-07-10

 各地で憲法カフェという取り組みがなされている。これは、憲法を本当に国民のものにするための素晴らしい取り組みだと思う。憲法講演会、憲法学習会ではなく、「カフェ」であるところがいい。講師の報告を聞くだけでなく、参加者が意見を述べて話し合うという趣旨がそこに見える。
 そこで提案がある。労働カフェもしくは労働法カフェというような集まりを、草の根でやりましょうという提案である。労働法講演会、労働法学習会ではなく、労働問題や労働法について、お茶を飲みながら、楽しく勉強し、語り合い、相互に学ぶという取り組みである。残念ながら、日本の労働者は自らの権利について知らない。解雇、残業代不払い等の問題について、声をあげられず泣き寝入りする労働者も多い。そういう日本の労働者が自らの権利を知り、権利行使の方法について語り合う場が必要ではないか。「それは、労働組合がやればいいことだ。」という声があるかもしれない。もちろん、労働組合も、各職場でそういう企画をやってほしい。それだけではなく、労働組合のない企業、労働組合に加入できない非正規労働者、これから社会に出ていく、そしてアルバイトをしている大学生、高校生も参加してほしい。今、雇用という形で働いていない方にも、家族や友人のために、そして自分の将来のために参加してほしい。
 実は、そういう取り組みはすでにある。仙台で始まったWorkafe(ワーカフェ)という労働問題について考えるサークルは、山形、東京や大阪にも広がっている。
 日本の労働者の権利を本当の意味で根付かせるために、全国各地で労働カフェの取り組みを行おう!

Workafe(ワーカフェ)(仙台)
http://workafe.nomaki.jp/katudou.html

Workafeやまがた
http://blog.livedoor.jp/workafe_yamagata/

Workafe Tokyo
https://workafetokyo.localinfo.jp/
(フェイスブック)https://www.facebook.com/workafe.tokyo/posts/974550079242685

Workafe OSAKA
(フェイスブック)https://www.facebook.com/workafe.osaka/?fref=nf

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