お知らせ

サプライチェーンにおける技能実習生問題等に関する提言

2019-06-28

実習生弁連は、NPO法人ヒューマンライツナウと共同で、「サプライチェーンにおける技能実習生問題等に関する提言~ジャパンイマジネーションの取組みから~」を公表します。ぜひ、お読みください。
外国人技能実習生問題弁護士連絡会 共同代表 指宿昭一

実習生弁連は、NPO法人ヒューマンライツナウと共同で、「サプライチェーンにおける技能実習生問題等に関する提言~ジャパンイマジネーションの取組みから~」を公表します。ぜひ、お読みください。
外国人技能実習生問題弁護士連絡会 共同代表 指宿昭一

                                            2019年6月28日

                                     外国人技能実習生問題弁護士連絡会
                                     認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ

サプライチェーンにおける技能実習生問題等に関する提言
~ジャパンイマジネーションの取組みから~

第1 はじめに
 外国人技能実習生問題弁護士連絡会と国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、セシルマクビー等を販売する株式会社ジャパンイマジネーションに対して、外国人技能実習生の労働問題に関し、サプライチェーンの頂点に位置するブランド企業としてどのような対応を行っているか質問状を送付し、ダイアログを行った。
ジャパンイマジネーションは、2017年12月、テレビ東京系列「ガイアの夜明け」において、同社のサプライチェーンを構成する二次サプライヤーの工場で、外国人技能実習生に対する最低賃金違反、賃金不払い等の深刻な権利侵害が行われていることが報道され、大きな批判を浴びた。このような報道を受けて、ジャパンイマジネーションは、2017年12月15日発表のプレスリリース「一部TV番組放送内容に関して」を公表し、「労務問題が存在するという事実も判明致しました」として、「今後は取引メーカー様と共に、製造現場について更なる関心を払い、弊社の製品がそのような環境下で製造されることがないように努力をして参る所存です」と述べていた。
そこで、外国人技能実習生問題弁護士連絡会とヒューマンライツ・ナウは、ジャパンイマジネーションのサプライチェーンにおける外国人技能実習生の労働問題の発覚から約1年後に質問状を送付した上、同社とダイアログを行ったものである。
本報告書は、同社から確認した改善の取組みを明らかにするとともに、再発防止のために必要な対策を提言するものである。

第2 ジャパンイマジネーションの取組み
1 サプライヤーに対する意思表明
ジャパンイマジネーションによれば、同社は、「ガイアの夜明け」の放送を受けて、放送の10日後の2017年12月22日に一次サプライヤー約70社を同社の本社に集め、人権侵害は許さない、労働環境の是正が必要であるとの認識を伝えたとされる。
具体的には、①ジャパンイマジネーションの理念として、労働者の権利侵害が認められる工場での生産は一切行わないこと、②「ガイアの夜明け」で問題の判明した二次サプライヤーであるA社及びA社と関係の疑われる工場においては生産を中止すること、③A社のみならず他の法令違反が疑われる工場での生産は行わないこと、④そうした二次サプライヤー工場との取引があるメーカー(一次サプライヤー)との取引に関しても、改善が認められない場合取引自体を中止すること、の4点を伝えたとされる。
2 実地調査
ジャパンイマジネーションは、上記一次サプライヤー約70社を本社に招集した際に、①使用工場(二次サプライヤー)における外国人技能実習生の実態調査、
②ジャパンイマジネーションによる工場への直接訪問に対する協力を求めた。 
 ジャパンイマジネーションによれば、同社が実施した調査の進捗状況は以下のとおりであるとされる。
・同社では、年間約400万点の商品を納入しており、このうち約27万点(6.8%)が日本国内の生産であった。そして、この27万点を発注しているメーカー(一次サプライヤー)が28社であった。
・同社では2018年1月から2月にかけて、これらのメーカー28社に対し、生産を委託した国内工場における外国人技能実習生の有無についてのアンケート調査を行い、使用工場(二次サプライヤー)リストの提出を求めた。
・その結果、外国人技能実習生の雇用が認められる生産工場に生産を委託しているメーカー(一次サプライヤー)は9社、また生産工場(二次サプライヤー)は15工場存在することが判明した。
・そこで同社はこれらのメーカー9社に対し、上記15工場に対してジャパンイマジネーションが直接訪問する旨の申入れを行った。
・当初、メーカー(一次サプライヤー)は、発注元であるジャパンイマジネーションが直接取引関係のない生産現場(二次サプライヤー)へ出向くことに難色を示し、これを拒絶するメーカー(一次サプライヤー)もあった。しかし、ジャパンイマジネーションは、同社の企業倫理や方針についての説明及び訪問の趣旨を説明し、理解を促して協力を取り付けた。結果、同年4月より同社社員による各工場への直接訪問調査を開始した。
・訪問調査は現在も継続しており、2018年11月末時点で、11工場への訪問調査を実施しており、残り4工場については、今後実施する予定である。
3 取引停止
ジャパンイマジネーションでは、「ガイアの夜明け」で問題となったA社(二次サプライヤー)と取引のある一次サプライヤー(B社)に対して、A社における外国人技能実習生の労働環境の改善について複数回申入れを行った。しかし、その対応が不十分であったため、一次サプライヤーとの取引を停止した。
ジャパンイマジネーションはA社(二次サプライヤー)との直接取引がないため、ジャパンイマジネーションの発注先であるメーカー(B社:一次サプライヤー)に対して、A社における外国人技能実習生の労働環境の改善について申入れを行った。具体的には、B社の代表者及び担当者と面談を行い、①報道された事実の有無に関する確認の申し入れ、その上で事実が認められた場合には②即時改善の申入れを行った。そして、改善が見られない場合には、③当該工場における商品の生産の即時中止、及び④当該工場代表者との関係が疑われる工場での商品の生産の即時中止の申入れを行い、B社代表者の了解及び対応する旨の回答を得た。
B社からは、A社へ対しての改善要求の申入れ及び対応について約束する回答を得たが、実質的に改善が認められると判断できる状態にならず、ジャパンイマジネーションはB社に対しての申入れを継続した。しかし結局、A社に十分な改善が見られず、またB社においては、生産を委託している工場(二次サプライヤー)の労働環境の把握等(A社のような労働環境が存在していたことを把握していなかった等)生産現場の監理監督が不十分であると判断し、ジャパンイマジネーションはB社との取引を停止した。
4 今後の取組み
各サプライヤーに対して法令遵守を求め、違反が認められた場合には取引停止等の措置を講じる。また、工場(二次サプライヤー)の訪問調査も定期的に実施する。

第3 ジャパンイマジネーションの取組みに対する評価
 ジャパンイマジネーションが、テレビ報道を受けて事実調査を実施し、外国人技能実習生を雇用している二次サプライヤーと直接取引があり影響力を行使できる一次サプライヤーを招集して企業理念と対応方針を伝えて改善に乗り出し、外国人技能実習生を雇用する15工場を特定して現在までに11工場の実地調査を行ったことは、他の一般的な日本企業と比較した場合には積極的な取り組みとして一定の評価ができる。
しかし、問題の工場(A社)を特定した上で、同工場に生産を委託していた一次サプライヤー(B社)に改善を要求し、B社が改善を実現できなかったために取引を停止したことは自社の対応方針を推進する姿勢の表われではあるものの、一方で、具体的なB社とのやり取りの内容や経緯が明らかでないが、今後、B社が別企業と取引を行うことで、引き続きA社における外国人技能実習生への人権侵害が継続されてしまうおそれを依然として残している。したがって、関係団体などと連携して対話を継続し、B社に対し改善を促していくこともまた自社の責任として検討する必要がある。
また、サプライチェーンの頂点にあるブランドとして、サプライチェーンを構成する企業の生産現場で発生していた人権侵害を把握していなかったことに鑑みれば、今後の再発防止のための明確で効果的な方針策定が求められる。
問題発覚後に実施している二次サプライヤーの訪問調査についていえば、外国人技能実習生に対する直接の聞取りを行っておらず、工場長等雇用者側に対する聞取りしか行っていないこと、調査手法に関しても開示されていないことから、現時点では評価が困難であり、調査方法については早急に改善すべきであり、また説明責任を果たすうえでも、調査方法を透明化し、調査の結果についても広く社会に公開することが求められる。
今回、問題発覚の発端となったのは、ジャパンイマジネーションの二次サプライヤーであるA社の中国人技能実習生に対する賃金不払いと、破産を口実とするA社の支払い拒否であった。このようなA社の対応を受けて、実習生たちは、同様の被害を生まないでほしいという内容の手紙を携えてジャパンイマジネーションを訪ねたわけであるが、実習生たちは未だA社での未払賃金について補填を受けていない。ジャパンイマジネーションにはサプライチェーンを構成するブランド企業として人権侵害を受けた労働者を救済する社会的責任があり、同社は実習生らの未払賃金が補償されるよう自社の影響力を積極的に行使するべきである。
今後は、国際基準に基づく人権方針を策定して外国人労働者を含む労働者の権利・人権を尊重する自社の責任を確認し、サプライヤーにもその遵守を求めて調達コードに明文化することで人権侵害を防止するとともに、定期的継続的にサプライヤーの労働環境の現地調査など人権デュー・ディリジェンスを実施し人権侵害のリスク把握に努めるとともに、サプライヤーの労働者が直接匿名で容易に通報できる多言語対応の窓口を設けるなどして、同様の人権侵害の再発を防ぐための仕組み及び被害救済のメカニズムを構築することを求めたい。

第4 アパレル業界全体への提言
 繊維・アパレル業界における、外国人技能実習生に対する最低賃金割れや残業代不払いを含む賃金不払いなどの法令違反や人権侵害は、非常に多いのが現状である。繊維・アパレル業界は、今回ジャパンイマジネーションで起きたこのような問題が、同社個別の事象ではなく、業界全体の構造的問題であることを認識し、業界全体でその改善と再発防止に取り組むことが必要である。
今回問題となったのは、ジャパンイマジネーションのサプライチェーンを構成する二次サプライヤーのA社で行われていた外国人技能実習生の人権侵害、搾取労働であった。このようなサプライチェーンにおける人権侵害はジャパンイマジネーションに限らず、あらゆる企業のサプライチェーンで起こり得る、また実際に現在も起きている問題である。
今回、ジャパンイマジネーションは、自己のサプライチェーンにおける外国人技能実習生の労働問題の発生を防ぐことができなかった訳だが、その原因は、同社が生産現場における技能実習生の労働環境の実態を把握していなかったことにあると言える。上記の通り、問題発覚後のジャパンイマジネーションの対応は一定の評価をしうるものであったが、もし、一次サプライヤーとの契約において、二次サプライヤーの労働実態を報告することや、ジャパンイマジネーションが二次サプライヤーを訪問調査することを可能にする条項を調達コードとして設け、ブランドとしての人権デュー・ディリジェンスを実施していれば、今回の問題の発生は防ぐことができた可能性が高い。そこで、今後の対策としては、1) サプライヤーも含めた人権尊重責任の認識、2) 人権方針の確立とサプライヤーに対する徹底、人権デュー・ディリジェンスの実施が有効である。
また、上記のように、実習生らは、二次サプライヤーであるA社が破産を口実として未払賃金の支払をしないために、未だ賃金の支払を受けられずにいる。繊維・アパレル業界においては、このように、実習生の雇用主であるサプライヤー工場が破産を理由として賃金を支払わないために、結局実習生らが未払賃金不払いの損害を被らされる事例が後を絶たない。業界としては、このような不当な例が業界に横行していることを認識し、実習生らの救済のため、サプライヤーが破産を口実に賃金を支払わない場合等に未払賃金を補填する基金を早急に設立するべきである。

第5 人権侵害を生まないサプライチェーンの構築
1 人権尊重責任の認識の重要性
 まず、今回の問題の一次的な責任は当然A社にあるが、かかるサプライヤーを自己のサプライチェーンに持つブランドには、少なくとも社会的責任が認められる(サプライチェーン上の人権侵害を認識しながら放置していたケースなど場合によっては法的責任も負いうる)。そして、そのような社会的責任を果たさない場合には、今回のテレビ報道で明らかになったように一般消費者をはじめとする世論からの激しい非難を浴びることとなり、それはひいてはブランド自身の損失となる。サプライチェーンの頂点に位置するブランドとしては、サプライヤーの違法・不当な行為について、その社会的責任を認識し、適正なサプライチェーンの構築及び人権リスク管理に努めることが、企業の社会的責任を果たすことになるだけでなく、自身のブランドを守ることにもつながるといえる。
したがって、まずは、企業において、サプライチェーンの違法・不当な行為について、社会的責任があることを認識し、かかる責任を果たさない場合には事業遂行における大きなリスクとなり得ることを認識することが必要である。
2 人権方針及び人権デュー・ディリジェンスの重要性
企業がサプライチェーン上の人権尊重の責任を果たすための具体的指針として、2011年に国連で承認された「ビジネスと人権に関する指導原則」が挙げられる。今回、ジャパンイマジネーションでは同原則に則した人権方針などは策定されていなかった。もし、同原則に則した人権方針を策定し、人権デュー・ディリジェンスが効果的に実施されていれば、今回の問題は防ぐことができた、あるいは、早期に発見でき被害の拡大を防ぐことができたといえる。
現在、多くのアパレル企業大手が同原則に則して企業の人権方針を策定し、人権デュー・ディリジェンスの実施に乗り出している。今後同様の問題の再発を防ぐためには、未だ同原則に則した人権方針を有していない企業は、早急に同原則に則した人権方針を確立し、実効的な人権デュー・ディリジェンスの実施、救済メカニズムの構築を行うことが求められる。以下、同原則の概要を紹介する。
(1)ビジネスと人権に関する指導原則13条
ビジネスと人権に関する指導原則は、13条で、「企業活動と直接関連する、または取引関係による製品もしくはサービスに直接関連する人権への悪影響については,企業がその惹起に寄与していなくても,回避又は軽減に努めること。」として、サプライチェーンにおけるブランドがサプライヤーの行った人権侵害行為に直接関与していなくとも、その回避軽減義務があることを定めている。
(2)ビジネスと人権に関する指導原則15条
15条は、「企業は、人権を尊重する責任を果たすため、その規模と状況に応じて、以下を含む企業方針と手続を持つべきである。」として、以下の3つの事項を行うことを要求している。
(a) 人権を尊重する責任を果たすという企業方針によるコミットメント。
(b) 人権への影響を特定、予防、軽減し、対処方法を説明するための人権デュー・ディリジェンス手続。
(c) 企業が惹起させまたは寄与したあらゆる人権への悪影響からの救済を可能とする手続。
(3)ビジネスと人権に関する指導原則16条
16条は、15条の内容をより詳細に定め、「企業方針によるコミットメント」として、「人権を尊重する責任を定着させるための基礎として、企業は、以下の要件を備える企業方針の声明を通して、その責任を果たすというコミットメントを明らかにすべきである。」とする。そして、以下の5つの事項を定めている。
(a) 企業の最上級レベルで承認されている。
(b) 社内及び/または社外から関連する専門的助言を得ている。
(c) 社員、取引先、及び企業の事業、製品またはサービスに直接関わる他の関係者に対して企業が持つ人権についての期待を明記している。
(d) 一般に公開されており、全ての社員、取引先、他の関係者にむけて社内外にわたり知らされている。
(e) 企業全体にこれを定着させるために必要な事業方針及び手続のなかに反映されている。
(4)ビジネスと人権に関する指導原則17条
17条は、「人権デュー・ディリジェンス」と題して、「人権への負の影響を特定、防止、軽減し、どのように対処するかということに責任をもつために、企業は人権デュー・ディリジェンスを実行すべきである。そのプロセスは、実際のまたは潜在的な人権への影響を考量評価すること、その結論を取り入れ実行すること、それに対する反応を追跡検証すること、及びどのようにこの影響に対処するかについて知らせることを含むべきである。」とし、人権デュー・ディリジェンスについて以下のように定める。
(a) 企業がその企業活動を通じて引き起こしあるいは助長し、またはその取引関係によって企業の事業、商品またはサービスに直接関係する人権への負の影響を対象とすべきである。
(b) 企業の規模、人権の負の影響についてのリスク、及び事業の性質並びに状況によってその複雑さも異なる。
(c) 企業の事業や事業の状況の進展に伴い、人権リスクが時とともに変りうることを認識したうえで、継続的に行われるべきである。
 このように、17条は、企業の人権デュー・ディリジェンスとして、取引関係を含むサプライチェーン全体の人権への負の影響について精査し、その検証は事業の遂行にともない継続的に行われる必要があるとしている。
(5)ビジネスと人権に関する指導原則18条
 さらに、18条は、「人権リスクを測るために、企業は、その活動を通じて、またはその取引関係の結果として関与することになるかもしれない、実際のまたは潜在的な人権への負の影響を特定し評価すべきである。」とする。そして、このプロセスでは、以下のことをすべきであるとする。
(a) 内部及び/または独立した外部からの人権に関する専門知識を活用する。
(b) 企業の規模及び事業の性質や状況にふさわしい形で潜在的に影響を受けるグループやその他の関連ステークホルダーとの有意義な協議を組み込む。
(6)ビジネスと人権に関する指導原則19条
そして、19条は、「人権への負の影響を防止し、また軽減するために、企業はその影響評価の結論を、関連する全社内部門及びプロセスに組み入れ、適切な措置をとるべきである。」とし、以下のことを定める。
(a) 実効的に調査結果を組み入れるためには以下のことが求められる。
(i) そのような影響に対処する責任は、企業のしかるべきレベル及び部門に割り当てられている。
(ii) そのような影響に効果的に対処できる、内部の意思決定、予算配分、及び監査プロセス。
(b) 適切な措置は以下の要因によって様々である。
(i) 企業が負の影響を引き起こしあるいは助長するかどうか、もしくは影響が取引関係によってその事業、製品またはサービスと直接結びつくことのみを理由に関与してきたかどうか。
(ii) 負の影響に対処する際の企業の影響力の範囲

さらに、20条は追跡調査の必要性、21条は報告義務を定める。

以上のように、国連のビジネスと人権に関する指導原則は、企業が果たすべき人権を尊重する責任とその実現方法について詳細に定めており、本件のようなサプライチェーンにおける人権侵害の再発を防ぐためには、同原則に則して人権方針を策定すること、それをサプライヤーにも徹底する施策を講ずること、さらに人権デュー・ディリジェンスを実施し、実効的な救済メカニズムを構築することが必要である。
人権デュー・ディリジェンスを効果的に実施するために、本報告書の巻末に、参考として日本弁護士連合会「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス」のCSR条項モデル条項を掲載した。人権方針をサプライヤーに徹底するとともに、実態を把握し、是正することが必要である。さらに、人権デュー・ディリジェンスの方法及び結果を広く公開して説明責任を果たすこと、被害に対する救済の施策を具体的に講ずることも求められる。
技能実習生の課題が、業界に共通した課題であることに鑑みれば、ビジネスと人権に関する指導原則に則した人権方針を業界全体で定め、サプライチェーンも対象とする通報窓口を含む業界横断の人権デュー・ディリジェンスを実施して人権リスクの把握に努め、実効的な救済のためのメカニズムを導入すべきである。
以上

日本弁護士連合会
「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス」より

CSR 条項モデル条項例
第○条(CSR条項)
1(本条項の目的)
甲は,企業の社会的責任(CSR)及び人権を尊重する責任を果たすために,CSR行動規範を策定した上これを遵守し,かつ人権方針を策定した上人権デュー・ディリジェンスを実施しているところ,サプライチェーン全体におけるCSR・人権配慮が必要となっていることにかんがみ,甲及び乙は,そのための共同の取組を継続的に推進するために,本条項に合意するものとする。

2(CSR行動規範の遵守)
乙は,甲と共同して企業の社会的責任を果たすために,別紙規定のCSR行動規範を遵守することを誓約する。また,乙は,乙の調達先(本件取引基本契約の対象となる製品,資材又は役務に関連する調達先に限る。サプライチェーンが数次にわたるときは全ての調達先を含む。以下「関連調達先」という。)がCSR行動規範を遵守するように,関連調達先に対する影響力の程度に応じて適切な措置をとることを誓約する。ただし,乙の2次以下の関連調達先がCSR行動規範に違反した場合に乙に直ちに本条項の違反が認められることにはならず,乙がこの事実を知り又は知りうべきであったにもかかわらず適切な措置をとらなかった場合にのみ本条項の違反となるものとする。

3(人権デュー・ディリジェンスの実施)
乙は,甲と共同して企業の人権を尊重する責任を果たすために,本取引基本契約締結後速やかに,人権方針を策定した上人権デュー・ディリジェンスを実施することを誓約する。また,乙は,乙の関連調達先が同様の措置をとるように,その関連調達先に対する影響力の程度に応じて適切な措置をとることを誓約する。ただし,乙の2次以下の関連調達先が人権デュー・ディリジェンスを実施しなかった場合に乙に直ちに本条項の違反が認められることにはならず,乙がこの事実を知り又は知りうべきであったにもかかわらず適切な措置をとらなかった場合にのみ本条項の違反となるものとする。乙及びその関連調達先が人権デュー・ディリジェンスを実施するにあたっては,日本弁護士連合会「人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引)」を参照する。

4(発注企業の情報提供義務)
甲は,乙から第1項規定のCSR行動規範の遵守又は第2項規定の人権デュー・ディリジェンスの実施の内容に関し説明を求められたときは,乙に対し,相当な範囲で情報を提供しなければならない。

5(サプライヤーの報告義務)
乙は,甲に対し,定期的に,乙及び乙の関連調達先のCSR行動規範遵守及び人権デュー・ディリジェンス実施の状況を報告する義務を負う。乙は,当該報告にあたっては,甲の求めに応じて,報告の内容が真実であることを証明する客観的な資料を提出しなければならない。

6(サプライヤーの通報義務)
乙は,乙又は乙の関連調達先にCSR行動規範の違反事由又は重大な人権侵害が認められることが判明した場合,速やかに甲に対し,通報する義務を負う。

7(発注企業の調査権・監査権)
甲は,乙及び乙の関連調達先のCSR行動規範の遵守状況及び人権デュー・ディリジェス実施状況を調査し,又は第三者をして監査させることができ,乙は,これに協力しなければならない。

8(違反の場合の是正措置要求)
乙に第2項又は第3項の違反が認められた場合,甲は,乙に対し,是正措置を求めることができる。乙は,甲からかかる是正措置要求を受けた日から○週間以内に当該違反の理由及びその是正のための計画を定めた報告書を甲に提出し,かつ相当な期間内に当該違反を是正しなければならない。

9(是正措置要求に応じない場合の解除権)
前項の甲の乙に対する是正措置の要求にかかわらず,乙が相当な期間内に第2項又は第3項の違反を是正せず,その結果当該条項の重大な違反が継続した場合,甲は,本取引基本契約又は個別契約の全部若しくは一部を解除することができる。ただし,乙が当該違反を是正しなかったことに関し正当な理由がある場合は,この限りではない。

10(損害賠償の免責)
甲が前項の規定により,本取引基本契約又は個別契約の全部若しくは一部を解除した場合,乙に損害が生じたとしても,甲は何らこれを賠償ないし補償することを要しない。

11(CSR行動規範の改定)
甲は,CSR行動規範の改定が社会的に合理的と認められる場合又は乙からその承諾を得た場合,CSR行動規範を改定することができる。前者の場合,甲は,乙に対し,改定の内容を通知しなければならない。

2019年6月の報道機関等での発言等

2019-06-08

2019年6月の弁護士・指宿昭一の報道機関等での発言等は以下の通りです。

新聞配達、裏に留学生の過酷労働 出井康博さん「新聞記者は取材して」
弁護士ドットコムニュース 2019年06月07日 10時06分
https://www.bengo4.com/c_5/n_9725/
こうした議論を受けて、外国人問題にくわしい指宿昭一弁護士は、国連が2011年に採択した「ビジネスと人権に関する指導原則」(ラギー原則)に触れながら、「企業の社会的責任」を追及すべきと指摘した。
「(留学生や技能実習生の)問題の上流には大企業がある。末端の取引先で問題が起きても、大企業は『うちには法的責任はない』という姿勢をとる。でも、この姿勢はもう通らない。こういう考え方を通してはいけない」
「すべての企業、とりわけ大企業には人権を守る社会的責任があるという考えが国際潮流になりつつある。自社だけでなく、サプライチェーンを含めて、人権侵害が起きていないか調査し、改善に動くべき。新聞社だけでなく、日本社会全体の課題だ」

不法就労、まさかの入管が要請か 「協力した」社長証言
朝日新聞 岩田恵実、後藤遼太、五十嵐聖士郎 2019年6月7日21時50分
https://www.asahi.com/articles/ASM675DVBM67PIHB01P.html
「おとり捜査に近い」「加担した側(入管)も責任を追及されなければならない」とコメント。

外国人技能実習生 時のかたち104回 生活と自治2019年6月号(生活クラブ生協) 鈴木貫太郎
 技能実習生制度についてコメント。

東京福祉大 留学生受け入れ停止 元教員「大学、学費目当て」
東京新聞 2019年6月12日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019061202000139.html
 外国人労働問題に詳しい弁護士の指宿昭一氏は「研究生らが就労目的で来日していることは明らか。三十万人計画により在留資格を緩和し、入国させてきた政府の責任は重い」と語った。(記事より)

事業所9割に行政指導 17年労働局 違法残業や劣悪宿舎 外国人技能実習
読売新聞岩手県版 2019年6月13日
https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/news/20190613-OYTNT50026/
技能実習生が使い捨ての労働力として使われていることなどにつきコメント

JRRRA 2019年労働政策研究会 2019年6月16日
「外国人労働者をめぐる政策課題」
http://www.jirra.org/kenkyu/frame.html
司会 呉 学殊 労働政策研究・研修機構
パネリスト
早川智津子 佐賀大学
上林千恵子 法政大学
井口 泰 関西学院大学
指宿 昭一 暁法律事務所

「入管の要請で、不法就労の捜査に協力したら、自分まで逮捕された」派遣会社社長が主張、 おとり捜査か?
2019年06月17日 09時46分 弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_1009/n_9769/
だが、もし今回の事件の経緯が、社長側が主張するようなものだったとすると、「おとり捜査」にあたるようにも思える。外国人の労働問題にくわしい指宿昭一弁護士に聞いた。
●指宿弁護士「もし本当なら、おとり捜査にあたる」
「入管が不法就労を継続するように指示したとすれば、『おとり捜査』にあたります。しかも、積極的に犯罪行為をおこなうことを指示しており、捜査方法として不適法であると思います。
捜査機関が働きかけて、犯罪をおこなわせる『犯意誘発型』のおとり捜査を適法とした最高裁判例はありますが、今回のようなケースまでもが許されるとは思いません。
また、不法就労を取り締まるべき入管が不法就労を生み出しているのであり、これを指示した入管職員には不法就労助長罪が成立すると思います。
さらに、捜査協力者である人材派遣会社社長を逮捕してしまったことは、ずさんとしか言いようがありません。今後、経営者たちは、入管からこのようなおとり捜査への協力を求められても、絶対に応じないほうがいいと思います」

日本語習得を後押しする法案が可決 国の責務を明確に
矢島大輔 藤崎麻里 2019年6月20日20時14分
https://www.asahi.com/articles/ASM6L45WMM6LUTIL014.html
外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士によると、ドイツでは国が600回分のドイツ語コースを提供しているという。日本でも、国の責任で外国人が無料か低額で日本語教育を受けられる制度が必要だと主張する。

「日本を夢のような国だと誘い込まないで」フィリピン人留学生、日本語学校提訴
弁護士ドットコムニュース 2019年6月27日
https://www.bengo4.com/c_5/n_9809/?fbclid=IwAR3Gcm9-LjVKcnct6MPmScKQhSKcmARGHSftilneSH2Ia3gVjX5ULDHU07A
代理人をつとめる指宿昭一弁護士は「送り出し国のブローカーと日本語学校と会社(施設)が一体となって、彼女を奴隷的に拘束して、無理やり働かせていた。留学生を食い物にしている。違法性、社会的な問題を訴訟を通じて明らかにしていきたい」と語った。

留学生が「強制帰国」を争って日本語学校を提訴 日本の介護現場を支える違法労働の実態とは
今野晴貴 | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
6/27(木) 18:36
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20190627-00131899/?fbclid=IwAR3cZSrQ7GMeXXfogs3LM4Sb-wmbEbTbHtFTbsHh5Wcfk3_v-1wz8-NTQWU

 ここまで見ていくと、「なぜこんなひどいことが」と思われるかもしれないが、長年外国人の労働問題に取り組んでいる指宿昭一弁護士は、「強制帰国」は技能実習生に対して頻繁に行われていると言う。

NHK クローズアップ現代プラス 2019年6月27日(木)
留学生が“学べない” 30万人計画の陰で
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4300/index.html?fbclid=IwAR0WU1ow31BgBx-jupXGBpu7RZy2sG1xPiPl_5s3aSs0q5J43KbXjHWMLUI
「実態はまるで派遣会社ですよ・・・」。外国人留学生を受け入れる学校関係者が、カメラの前で暴露した。留学生を囲い込み、日本語はほぼ教えず、地元企業へと紹介。法律上限の週28時間以上働かせ、地域ぐるみで留学生が“食い物”にされているというのだ。背景にあるのが、国が掲げた「留学生30万人計画」。日本語学校で借金を抱えた学生が専門学校・大学へと移り、授業にも出ず失踪状態で働き続ける現実も―。実態を独自取材。

出演者
佐藤由利子さん (東京工業大学准教授)
指宿昭一さん (弁護士)
武田真一 (キャスター) 、 栗原望 (アナウンサー)

2019年5月の報道機関等での発言等

2019-05-14

2019年5月の弁護士・指宿昭一の報道機関等での発言等は以下の通りです。

「移民受け入れ」賛成過半数の衝撃 
「多くの国民が懸念」安倍答弁が完全崩壊
専門家「安心して定住できる制度を」
日刊ゲンダイ5月15日号(14日発行)
公開日:2019/05/15 06:00 日刊ゲンダイデジタル
安倍首相「多くの国民懸念」崩壊 “移民賛成”過半数の衝撃
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/253838
外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士が言う。
「現時点で賛成過半数という結果には、私も驚きました。すでに、日本社会は外国人によって支えられています。外国人に感謝、期待をしている市民の健全な生活感覚が世論調査の結果に出ているのではないでしょうか。“単一民族神話”という移民を排除するイデオロギーは、こうした現実の生活感覚の前に打ち消されたということでしょう」
「安倍政権は、一時しのぎとしての外国人労働者の受け入れに固執しています。しかし、世論調査の結果で示された進むべき方向は、日本に来てくれる外国人の人権をきちんと保障して、安心して定住できる制度をつくることです。そういう制度ができれば、移民受け入れ賛成はもっと増えるのではないでしょうか」(指宿昭一弁護士)

【イベント】2019年5月17日(金)グローバル・サプライチェーンと人権課題
http://hrn.or.jp/activity/15735/?fbclid=IwAR2__wgwfYQTPL9os5fNHlmBKX1-uV9wLHNe5f3d82kRagLYQxUshlyFWAg
主催 ヒューマンライツ・ナウ 後援 一般社団法人エシカル協会
パネルディスカッションと質疑
※会場発言 指宿昭一氏(外国人技能実習生問題弁護士連絡会・共同代表

NHKテレビおはよう日本 2019年5月20日7時35分頃
“恋愛・結婚禁止”? 外国人技能実習生に何が…
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2019/05/0520.html
労働問題に詳しい 指宿昭一弁護士
「恋愛もしない、結婚もしない、子どもも産まない存在でいる方が、雇用する側にとっても、それを管理する国の側にとっても便利。だから人権侵害については、見て見ぬふりをしてきたと思う。」

*この報道の元になったNHK国際放送報道「No love for foreign trainees」(英語放送)
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/newsroomtokyo/features/20190320.html
4分26秒から5分10秒のところに私のコメント

5/27 学習会「外国人労働者と被ばく労働」(共催:NPO法人 原子力資料情報室・被ばく労働を考えるネットワーク)
 「外国人労働者問題の現状」について報告。
https://www.facebook.com/shouichi.ibusuki

好きになってはダメですか…
NHK NEWS WEB NEWS UP 2019年5月27日 16時55分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190527/k10011930971000.html?fbclid=IwAR1VRDSGyOcG2wzgbO4LD0Y-MMI-t1hh2GlxhNmmSw4G9FTjXP4KjxebYYY
外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は、次のように話しています。「相手国との間で二国間協定を結んで、相手国にきちんとそれを守らせるように義務付けることはできると思います。相手国の送り出し機関が、保証金を取ったり、違約金を取ったり人権侵害的なルールを押しつけたときに、その機関の許可を直ちに取り消す。もっと言えば罰則を作るとか。そういうことを相手の国の政府に要求すべきです」

問題山積の被ばく労働、外国人労働者の受け入れは中止を
ハーバービジネスオンライン 2019/05/29 15:30
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/e5-95-8f-e9-a1-8c-e5-b1-b1-e7-a9-8d-e3-81-ae-e8-a2-ab-e3-81-b0-e3-81-8f-e5-8a-b4-e5-83-8d-e3-80-81-e5-a4-96-e5-9b-bd-e4-ba-ba-e5-8a-b4-e5-83-8d-e8-80-85-e3-81-ae-e5-8f-97-e3-81-91-e5-85-a5-e3-82-8c-e3-81-af-e4-b8-ad-e6-ad-a2-e3-82-92/ar-AAC4FqP#page=2
外国人労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は、「技能実習生の多くは自分がどこで働いているのか、何の仕事をしているのか正確に理解していないことが多い。労働条件もわかっていない。そのような人たちに廃炉作業をさせるのか」と憤る。
 ある支援団体では、相談を受けるとまずその実習生がどこで働いているのかを訊ねるという。自分がどこで働いているのはしっかりと理解している実習生は少なく、「日本で働いている」といった答えが返ってくることも珍しくない。働いている場所を正確に把握するため、最寄のコンビニで買い物をしてもらい、レシートを撮影して送ってもらうそうだ。
「登録支援機関」の制度にも問題がある。外国人労働者を雇う企業とは別に、登録支援機関が様々な支援を行うことになっている。しかし支援機関は、企業から委託を受けて、報酬を受け取っているため、「労働者がハラスメントや賃金の未払いといった問題を相談したときに、適切支援することができるのか」(指宿弁護士)という問題がある。

返事遅れクビ、実習生に「日本語の壁」 立法で救えるか
有料会員限定記事 藤崎麻里 2019年5月29日05時00分
https://www.asahi.com/articles/ASM5R7604M5RULFA03L.html?jumpUrl=http%253A%252F%252Fdigital.asahi.com%252Farticles%252FASM5R7604M5RULFA03L.html%253F_requesturl%253Darticles%252FASM5R7604M5RULFA03L.html%2526amp%253Brm%253D454
外国人の労働問題に詳しい指宿昭一弁護士は「ドイツでは国が600回のドイツ語コースとドイツ社会のオリエンテーションコース100回を提供している」とし、日本でも国が責任を持って外国人が無料か低額で日本語教育を受けられる制度をつくるべきだと主張する。

ヘイト対策法3年 差別解消へ集会 罰則付きの法制定を
東京新聞 2019年5月30日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019053002000144.html
指宿昭一弁護士は改正入管法について「特定技能1号で在留する外国人は、通算五年以上滞在が許されない『使い捨て』状態。家族帯同が認められないのも人権侵害だ」と指摘。1号への人材供給源といわれる技能実習制度の廃止も訴えた。(記事より)

「ヘイトスピーチ解消法施行から3年、そして、改定入管法施行。今、向き合うべき課題とは?」明戸隆浩×安田浩一×師岡康子×指宿昭一×鈴木江理子(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)5月30日(木)
http://radiko.jp/#!/live/TBS
【スタジオゲスト】
東京大学大学院特任助教で社会学者の 明戸隆浩 さん
【参議院議員会館〜院内集会で基調報告した方々の声】
「ヘイトスピーチ解消法施行から3年。改定入管法施行後の反人種差別政策に向けて」
・ジャーナリストの安田浩一さん
・弁護士の指宿昭一さん
・国士舘大学教授の鈴木江理子さん
・弁護士の師岡康子さん
ラジコ(配信終了日時:2030/01/01 00:00)
https://radiocloud.jp/archive/ss954/#

ヘイト対策法3年で集会、東京 「差別根絶へ禁止規定を」
2019.5.29 17:40 共同通信
https://this.kiji.is/506383828165182561?c=39546741839462401

より明確な差別の禁止を/解消法3年迎え院内集会・約150人が参加 
2019.05.31 (17:50) │ 主要ニュース,運動・生活 │朝鮮新報
http://chosonsinbo.com/jp/2019/05/hj190531/

時給405円で実習生働かせた社長を「逮捕」…指宿弁護士「労基署の強い意志感じる」
弁護士ドットコムニュース 2019年05月30日 09時31分
https://www.bengo4.com/c_5/n_9698/

2019年4月の報道機関等での発言等

2019-04-02

2019年4月の弁護士・指宿昭一の報道機関等での発言等は以下の通りです。

講演会 外国人労働、新制度は「上滑り」 長野 /長野 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20190402/ddl/k20/040/143000c?fbclid=IwAR1EsDOTKHK7Dv1j0rdoiwU4xqqMW6ZsHp5Fy__deWxpl4EqmaLM0B_nzo4
外国人技能実習生問題弁護士連絡会共同代表の指宿昭一弁護士が講師を務め、「制度設計する時間がなく、来た人たちが人間らしく生活できるのか、日本の住民とどう付き合っていくのか何も決まっていない。上滑りの制度」と問題点を指摘し、批判した。

外国人材受入れ拡大 高まる期待 残る課題
ニュースウオッチ9 2019年4月1日放送回 NHK
https://tvtopic.goo.ne.jp/program/nhk/4996/1250612/?fbclid=IwAR3saKLvTh2Jpwfa4qvUpEcqf6tzLEBWqaPedRidjjOPstpJuNIg1lS4WYA
指宿昭一弁護士は今回の入管法改正は新たな外国人労働者を受け入れるために制度を作っただけで権利の議論も制度もできていないと指摘。

「改正入管難民法」によってどのようなことが変わるのか
 TOKYO FM ONE MORNING BEHIND HEADLINE 2019年4月3日 7:03~07
https://www.tfm.co.jp/one/index.php#time_table
 新入管法の問題点についてコメント(ブローカー規制が必要であることなど)

消える外国人 求められる対策は」NHKテレビ 時論公論
2019年04月03日 (水)清永聡 解説委員
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/317582.html
外国人の労働問題に詳しい弁護士の指宿昭一さんは「違法な件数はさらに多いはずで、法務省の調査は実態を反映していない」と指摘します。(記事より)
指宿弁護士はこうした検討中の対策についても、「留学生が正直にアルバイトの時間を学校に報告するとは思えず、検討している対策の実効性は乏しい」と批判しています。(記事より)

技能実習生問題に取り組む 弁護士 指宿昭一さん(上) 共生社会へ④ 改正入管法施行 「国内外ブローカー規制を」 
南海日日新聞
「奄美2世」と紹介される。
https://www.facebook.com/shouichi.ibusuki

技能実習生問題に取り組む 弁護士 指宿昭一さん(下) 共生社会へ⑤ 改正入管法施行 「地域とのつながり、支えに」
南海日日新聞

移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線 (角川新書) 新書 – 2019/4/10 出井 康博 (著)
P41に指宿のコメント。
https://www.amazon.co.jp/%E7%A7%BB%E6%B0%91%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%B9-%E5%81%BD%E8%A3%85%E7%95%99%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%80%81%E5%A5%B4%E9%9A%B7%E5%8A%B4%E5%83%8D%E3%81%AE%E6%9C%80%E5%89%8D%E7%B7%9A-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%87%BA%E4%BA%95-%E5%BA%B7%E5%8D%9A/dp/4040822919

留学生大量失踪の東京福祉大、元教授が緊急会見。元総長が「120億のカネが入るわけだよ」と会議で発言。金儲けのために留学生受け入れか ハーバービジネスオンライン
https://hbol.jp/189873?fbclid=IwAR1YXaWX8rNPO3lFo7E4MlRkDxUmhX7MyGs2rw3BRb_rXn7OvPjWpkU_bzc
指宿昭一弁護士は、「こういう大学があってもいいのか」と同大のあり方を批判する。
「留学生は金儲けの道具ではありません。『留学生30万人計画』の影で、こうした不適切な学校に食い物にされる留学生が後を絶ちません。大学と中島氏の責任を明確にするべきでしょう」

荻上チキ Session-22 TBSラジオ
ニュース「廃炉に特定技能外国人」にコメント
https://www.tbsradio.jp/ss954/

喫煙者は不採用 法的にOK? 長崎大が方針「教職員が模範に」
2019年4月24日 東京新聞 こちら特報部 ニュースの追跡
 違法とは言えないが、勤務時間外も含めて喫煙するかどうかは仕事と直接関係なく、個人の自由を侵す恐れがあるという趣旨のコメント。

<働き方改革の死角>外国人特定技能制度1カ月 悪質仲介者の排除進まず 東京新聞 4月27日朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201904/CK2019042702000169.html?fbclid=IwAR3kbFdClARQKjqgjWgbURzkaCaWBTxAUHnsY-VLzPH6_zg7TC4nb8XDsNQ
しかし、外国人問題に詳しい指宿昭一弁護士は「外国人を劣悪条件で働かせることを容認すれば最低賃金など労働者を守るルールが骨抜きになり、日本人の労働条件も落ちていく」と指摘。ブローカー排除のため政府が直接、あっせん業務を担う韓国の例などを参考にした抜本改善策が急務と主張する。

国際自動車(国際労供ユニオン)事件で勝利命令

2019-03-05

昨年12月10日、国際自動車(国際労供ユニオン)事件で勝利命令を得ました。代理人は谷田和一郎弁護士と指宿です。

国際自動車事件(平成29年不第45号事件)平成30年12月10日
 会社が、組合と労働者供給に関する基本契約(タクシー乗務員の定年後雇用について、労働組合が会社の申し出に応じて組合員を供給すること等を内容とする契約)を締結しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合活動に対する支配介入に当たるとして、救済された例。

命令概要
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2018/meirei29-45.html

命令詳細
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2018/meirei29-45_besshi.html

判断の要旨
⑴  会社がX組合との基本契約の締結を拒否した本当の狙いは、X組合が取り組んでいる未払賃金訴訟提起の組合活動を阻害し、その中心人物である執行委員長を会社から排除するとともに、未払賃金訴訟の原告となっている同労組の組合員らに対して定年後に再雇用しないという不利益を与えることであるとみるほかない。

⑵  会社は、X組合が組合に影響力を及ぼしているものと考え、X組合を嫌悪したのと同じ理由で組合を嫌悪するとともに、組合の組合員が全員未払賃金訴訟の原告となっていることから、未払賃金訴訟提起の活動を阻害し、その原告である組合員らに対して定年後に再雇用しないという不利益を与えることを企図して、組合との基本契約の締結を拒んだものといわざるを得ない。

⑶  会社は、組合とX組合は実質的に同一であると判断し、基本契約の締結を拒否したと主張する。

  そもそも、会社がX組合との基本契約締結を拒否することに合理的な理由は認められないから、X組合と組合が実質的に同一であったとしても、基本契約の締結を拒否する理由とはならない。

  組合は、独自の規約をもち、執行委員長等の役員を選出し、執行機関、決定機関を有する等自主性を持ち、独自の財源を持ち、独自の活動を行っているもので、独立した組合と認められる。

⑷ 不当労働行為の成否

会社は、未払賃金訴訟を提起した組合員らを会社から排除するために、およそ合理的とはいえない理由を述べて組合との基本契約を締結しなかったものといわざるを得ない。この会社の対応は、未払賃金訴訟の提起という組合活動を阻害し、組合に不利益を与えるものであり、個々の組合員に対しても定年後の雇用が奪われるという不利益を与えるものである。

したがって、会社が、組合と基本契約を締結しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合活動に対する支配介入に当たる。

 

明治大学事件で勝利命令

2019-03-05

明治大学を相手方とする不当労働行為救済申し立て事件で、都労委から勝利命令を得ました。代理人弁護士は指宿です。

学校法人明治大学(非常勤講師・更新拒絶)事件(平成28年不第90号事件・労働判例1196号92頁)平成31年3月4日
 組合員の非常勤講師契約の更新等を議題とする団体交渉において、大学が具体的な説明を行わなかったこと、 及び大学が団体交渉申入れに応じなかったことは、不当労働行為であるとして救済された例。

命令の概要
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2019/meirei28-90.html

命令の詳細
http://www.toroui.metro.tokyo.jp/image/2019/meirei28-90_besshi.html
判断の要旨
 ⑴ 本件団体交渉における大学の対応について(争点1)
  団体交渉に先立って、大学として法学部執行部の教授が出席する本件事務折衝が行われた。第2回事務折衝では、組合が、一連の行為についてXが謝罪文を提出することで平成28年度の雇用を認めるよう求めたのに対して、大学は、謝罪文の内容は信頼回復には不十分であり、今後信頼回復の措置が執られるのであれば、28年度の雇用は無理であるが、29年度の雇用を検討する余地はある旨を説明した。また、組合が事務折衝の継続を求めたのに対して、大学は、団体交渉による交渉を求めた。本件においては、このような経緯があることを十分に考慮する必要がある。大学には、上記経緯を踏まえた上で交渉が継続できるような対応が求められていたものというべきである。
 大学は、第1回及び第2回の団体交渉では、Xの雇止め理由について、法学部の判断を支持するという結論を述べるだけで、「教育機関として妥当と判断した」、「一連の総合的な判断を支持した」等の抽象的な説明を繰り返し、法学部が、本件事務折衝の経過を踏まえた上で、Xとの信頼関係を回復できず、同人を雇止めにすると判断するに至った具体的な根拠等について、何ら回答していない。また、大学は、第3回の団体交渉において、Xの雇止めの理由と謝罪文の評価について回答したものの、雇止め決定プロセスや29年度のXの雇用に係る組合の質問には明確な回答をしておらず、信頼関係の回復についての議論になることもなかった。
 本件事務折衝において、大学が、今後信頼回復の措置が執られるのであれば、29年度の雇用を検討する余地がある旨説明していたことからすれば、Xの29年度の雇用に向けた適時の交渉が必要であった。それにもかかわらず、本件団体交渉における大学の上記対応は、組合と法学部が事務折衝を重ねて詰めてきた議論を後戻りさせるものといえ、事務折衝の経緯を踏まえた上で交渉が継続できるような対応であったとは到底いうことができない。大学は、法学部の教授を出席させるか、又は、法学部から十分な説明を受けた理事を出席させ、事務折衝の経緯を踏まえた上での交渉に努めるべきであったといえる。
 したがって、本件団体交渉における大学の対応は、不誠実な団体交渉であったといわざるを得ない。

 ⑵ 大学は、組合の28年9月19日付及び11月11日付団体交渉申入れを拒否したか、拒否したといえる場合に正当な理由があったか否かについて(争点2)
 大学は、28年10月3日付け及び11月28日付けの回答書において、1)第2回及び第3回団体交渉において、法学部教授会決定に至るまでのプロセスを十分説明しており、これ以上団体交渉を重ねても、大学の回答に変化はないこと、2)大学としては、組合が今後の要求の趣旨や争点を明らかにせず、漫然と従前の要求を繰り返す限り、当面団体交渉に応じるつもりはないことを回答している。これは、要求事項について交渉の余地はなく、団体交渉が行き詰まっていることを理由に、組合が従前の要求事項を繰り返す限り、団体交渉に応じる必要がないとの意思を示したものと解釈するほかなく、団体交渉を拒否したものといえる。
 そして、前記⑴で判断したとおり、本件団体交渉において、大学は誠実交渉義務を尽くしておらず、団体交渉が行き詰まりの状態に達していたとは認められないから、大学が組合の28年9月19日付及び11月11日付団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。

衆議院法務委員会で意見陳述 2018年11月22日(木曜日)

2019-01-06

2018年11月22日(木曜日)、衆議院法務委員会で入管法改正法案について意見陳述しました。
衆議院のHPに議事録が出ていました。

第197回国会 法務委員会 第6号(平成30年11月22日(木曜日))
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000419720181122006.htm

委員会経過 第197回国会 第23号 平成30年11月22日木曜日
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kouhou.nsf/html/kouhou/AF2392_1971122.htm

○葉梨委員長 ありがとうございました。

 次に、指宿参考人にお願いいたします。
○指宿参考人 日本労働弁護団常任幹事で弁護士の指宿昭一と申します。

 意見を述べさせていただきます。

 私は、この十一年間で、外国人研修生若しくは技能実習生を当事者とする民事訴訟ないし労働審判を十六件担当してきました。原告と申立人の数を数えてみましたところ、四十一人になります。これ以外にも、本当にたくさんの技能実習生からの法律相談を受け、交渉によって事件を解決したことも何度もあります。

 また、十年前に外国人技能実習生問題弁護士連絡会という弁護士の団体を結成し、その共同代表を務めております。この団体は、全国に約百五十名の弁護士の会員が加入していまして、全国で数多くの技能実習生から相談を受け、また訴訟などに取り組んでいます。

 また、これとは別に、外国人労働者弁護団という、これも弁護士の団体の代表も務めております。これは、技能実習生を含め、それ以外の外国人労働者も含めた電話相談を日常的に行い、また、年に一、二回の無料相談会などを開催するなどして、外国人労働者の労働問題に取り組んでおります。

 私のこのような経験を踏まえて、これから意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、外国人労働者受入れ制度を創設すること自体についての意見を述べます。

 今回の法案は、外国人労働者の受入れを目的とする制度をつくるということを正面からうたっています。しかし、先ほど鳥井参考人からも話があったように、実際にはもうずっと前から、非熟練分野を含めた外国人労働者の受入れは行われてきました。

 昨年、二〇一七年十月末の段階で、約百二十八万人の外国人労働者が日本で働いているという数字が出ています。そのうち約二十六万人が技能実習生です。そして、資格外活動の人が約三十万人です。これは、その多くが留学生だと思われます。実際には、このように多くの非熟練の外国人労働者の受入れをしながら、これを正面から認めてこなかったということが極めて異常なことであったと思います。

 技能実習制度の目的は、技術、技能の移転により国際貢献をすることだと説明されてきました。しかし、これは真っ赤なうそです。技能実習制度が労働力確保の手段として使われてきたことは、誰の目にも明らかです。マスコミでもそう報道されていますし、いや、法務省自身がそのことは百も承知なのではないでしょうか。これまで、カラスは黒いという真実を覆い隠して、政府はカラスは白いと言い続けてきたようなものです。もうこういうことはやめるべきです。

 今回の法案の目的が外国人労働者の受入れであることを明確に示したことによって、大きな議論が巻き起こっています。いわば、パンドラの箱があいたわけです。そうであれば、外国人労働者の受入れをめぐる本格的な議論をしっかりすべきです。この機会に、国会でも、また市民社会においても、そしてマスコミ等々においてもしっかり議論する、そのチャンスが今来ているんだと思います。拙速な議論で、中身の議論をきちんとしないで法案を通してしまうようなことは決してあってはならないと思います。

 技能実習制度について、もう少し述べさせていただきます。

 技能実習制度には構造的な問題があります。時給三百円や四百円で残業している技能実習生は、今も数多くいます。今もです。昨年の技能実習法施行以降も、私や私たちのところにはたくさんのそのような相談が来ています。

 先日、これは少し前の事件ではありますけれども、十一月九日に、私の担当している事件で、水戸地裁が、技能実習生の未払い残業代請求について約百万円の支払いを命じました。これはきょうの資料の二の一から三に入っていますので、ごらんいただければと思います。

 この裁判所の事実認定を前提にすると、残業の時給が四百円でした。もちろん、これは最低賃金法に違反する違法な賃金です。このようなことが日常茶飯事で今も多くの技能実習生の働く現場で行われているのです。

 私の資料の一をごらんください。厚生労働省が毎年出している資料です。外国人技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検等の状況という資料です。

 二〇一七年の場合、一枚めくっていただいて、二ページの上の方を見ていただくと、「全国の労働基準監督機関において、実習実施者に対して五千九百六十六件の監督指導を実施し、その七〇・八%に当たる四千二百二十六件で労働基準関係法令違反が認められた。」と記載されています。そして、この後の方に出てくるんですが、悪質な労働基準法令違反が認められて労働基準監督機関が送検した件数が三十四件あります。労基法違反で送検されるということはまれなことですから、これは決して少ない数字ではありません。

 そして、幾つか事例が載っています。賃金月額六万円の事例、残業時給が三百五十円の事例、四百円の事例、そして時間外労働が月百六十時間の事例、労災隠しを行った事例、複数の技能実習生が、課長がけがをした技能実習生の胸ぐらをつかんで殴ったと証言している事例などがここでは報告されています。

 これは、この年の報告書だけじゃありません。ぜひ、さかのぼって見てください。毎年、こういう報告がされている、同じような数字が出ています。もっとひどい事例もたくさん出ています。なお、二〇一八年のデータはまだ出ていませんが、私どもが実際に相談を受けている実感からすれば、またことしも同じようなデータが出てくるのではないかと考えています。

 では、技能実習生はこうした労働基準関係法令の違反に対して、声を上げることができているのでしょうか。労基署などの機関に相談し、是正を求めて申告することができているのでしょうか。

 これも資料を見ていただきたいんですが、五ページ、申告状況というデータ、(1)のところですね。平成二十九年のところを見ると、八十九という数字が出ています。八十九件ですよ、一年間で。違反事例が四千二百二十六件出てきているのに、八十九件しか申告ができていないんです。パーセントでいえば、たったの二%です。九八%の違反については、技能実習生は申告をしていないんです。

 この事例の最初のところ、三ページの事例とかを見ると、これは「情報を端緒に、」と書いてあるんですね。誰かが情報提供したんだと思います。四ページの事例三、下の方を見ると、これも「情報を端緒に、」と。本人じゃなくて、誰かが通報してくれて、それで調査が始まったということですね。

 なぜ、技能実習生は声を上げることができないのでしょうか。単に知識の不足とか言葉の問題ではありません。三つの原因があると思います。

 一つ目の原因は、まず、送り出し国において、送り出し機関から多額の渡航前費用を徴収されているということ。そして、権利侵害に対して声を上げないという約束をさせられて、しかも、その約束を担保するために保証金を徴収され、違約金契約を締結させられているんです。さらに、この違約金契約には保証人までつけられています。

 渡航前費用というのは、技能実習生のその国における数年分もの年収に当たるような金額で、私が聞いた事例では、ベトナムの場合で百万円程度取られている人がたくさんいるということを聞いています。ほとんどの場合、この渡航前費用を借金をして工面しています。この借金を返さなければいけませんから、解雇されたり、途中で帰国させられたりしたら大変なことになるわけです。借金だけが残るわけです。だから、技能実習生は、どんな違法な労働条件でも我慢して働かざるを得ないんです。

 二つ目の原因は、日本で職場を移動する自由がないことです。技術、技能を習得して国際貢献をするという建前のために、技能実習生は、同じ職場で計画に従って実習をしなければならないことになっています。その職場に問題があっても、他の企業に転職することができません。

 よく日本では、嫌ならやめて、よそで働けばいいということが言われます。ところが、技能実習生にはその自由すらないのです。残業時給が三百円で、これはおかしいと思っても、それを労基署に申告して、それが原因で解雇されたり、あるいは帰国させられたら、借金だけが残ってしまうわけです。

 こういう違法な事例の場合には、一応、制度上は、例外的に実習先を移ってもいいという制度にはなっています。でも、実際には移れません。まず、移る先が見つけられない。我々弁護士や労働組合が一生懸命探して、まれに移るところが見つかることがありますが、それは極めて困難です。三年間働いて、借金を返済した上で、家族のために稼ぎを持ち帰ろうと思って日本に出稼ぎに来ている実習生たちは、途中で帰国することになれば借金だけが残る。だから、申告なんかとてもできないわけです。

 三つ目の原因は、技能実習生が権利を主張すると、受入れ企業や監理団体によって、本人の意思に反して強制的に帰国させられてしまうということがあるということです。これを我々は強制帰国というふうに呼んでいます。

 もちろん、受入れ企業や監理団体に強制帰国をさせる権限があるわけではありません。暴力や脅迫によって、本人の意思に反して強制的に帰国させるということは犯罪です。しかし、そういう信じられないことが実際には行われているんです。しかも、そういう受入れ企業の犯罪行為はほとんど取り締まられていません。実際に、私の事務所に相談に来た技能実習生が、その一週間か二週間後に帰国させられてしまった、強い圧力を受けて帰国させられてしまったということがあります。また、民事裁判の裁判で、強制帰国が不法行為であると認定されて損害賠償が認容されたということもあります。これは資料三につけておきました。新聞記事をつけておきました。

 技能実習生は時給三百円の労働者と言われていますが、その背景として、実習生が物を言えない労働者であるという事実があります。これは、一部の悪い受入れ企業や監理団体がたまたま違法行為をしているという問題ではありません。技能実習制度の構造的問題に起因しています。

 今回の法案審議の前提として、法務省は、なぜこの技能実習制度の廃止を打ち出さなかったのでしょうか。法務省も、この制度が何度も改正に改正を重ねても、この構造的問題が解決できてこなかったということは知っていると思います。本当は、技能実習制度の廃止を前提に、新たな外国人労働者受入れ制度の創設を提案すべきだったと思います。技能実習制度の過ちを認めて、それを前提に議論をしようとしないから混乱が生じるのだと思います。

 今、技能実習生の失踪ということが言われています。私は、失踪ではなくて、これは緊急避難ではないかと思っています。この失踪の調査結果の誤りという問題がありますが、これも先ほど述べたような法務省の姿勢に基づくものだと思います。技能実習制度の失敗を認め、同じような人権侵害、権利侵害を繰り返さない制度をつくるという強い決意を持って新制度の検討に臨まなければ、また同じ過ちを繰り返します。新制度を第二の技能実習制度にしてしまうようなことは絶対にあってはなりません。

 実習生に対するさまざまな人権侵害の事案については、ほかにも新聞記事等々、資料をつけておきましたので、ごらんください。

 もうほとんど時間がありませんので、外国人労働者の受入れ政策、今回の新制度について、課題、問題点について少し簡潔に指摘をしたいと思います。

 まず、職場移動の自由を完全に保障する必要があります。

 一応、今度の新制度では認められているとされていますが、本当にそれが実質的に保障されるか、それはまだ未知数です。ハローワークなどによる情報提供やあっせんなどが行われて本当に移る先が見つからなければ、絵に描いた餅になると思います。

 二点目に、送り出し国におけるブローカー規制が必要です。

 これは、単に日本の制度として保証金を取っちゃいけないよとかいうだけではなくて、送り出し国との条約ないし二国間の協定を結んだ上で、相手国にブローカー規制を義務づけるべきです。多額の渡航前費用を取ることは禁止すべきです。保証金、違約金契約も禁止すべきです。そして、その取決めに違反があった場合は、その国からの受入れは停止すべきだと思います。

 三点目に、日本におけるブローカー規制も必要です。

 これは、登録支援機関が悪質なブローカーとして中間搾取や人権侵害をする危険がとても高いと思うからです。これは先ほど坂本参考人もおっしゃられていたので、これぐらいにします。

 四点目、家族帯同を認め、定住化に結びつく可能性を開くこと。

 五年間、家族と離れて暮らせというのは、余りにも過酷であり、人権侵害ではないでしょうか。実習生の期間と合わせれば十年ということもあるわけです。ここはぜひ見直しが必要だと思います。

 そして、果たして一号で在留資格の上限を決める必要があるのか。そして、一号から二号に移るのは厳しくすべきだという意見もあるようですけれども、定住化につながる受入れというのは、外国人労働者の利益になるだけではなくて、日本の受入れ企業、また日本社会の利益になるということも考えるべきだと思います。

 五点目、基準の透明性、客観性を確保する必要があると思います。

 受入れの数や職種、在留資格の更新、変更の基準を法務省の裁量に任せて密室で決めるのではなくて、公開の審議会などで毎年きちんと審議をして決めていくべきだと思います。

 受入れ後の共生政策について少し述べます。

 まず、支援体制については、登録支援機関に任せるのではなくて、国や国から委託されたNGOなどが責任を持つべきだと思います。

 日本語教育については、国が基準を設け、また、予算も確保するべきだと思います。

 共生政策について。受入れと共生政策の実現は、車の両輪として不可欠のものです。共生政策の基本法を設け、これを国の責務として明確に位置づけ、財政的な根拠をつくるべきだと思います。

 最後に、入管庁の設置について。

 外国人政策は、共生政策と在留管理政策の二つが必要です。共生政策抜きで在留管理だけ行うというのはおかしいことであるし、また、それだけをやるならば、何も入管庁にする必要はないと思います。両方の政策を行う、例えば共生庁あるいは多文化共生庁、外国人労働者庁といった省庁を、法務省のもとにではなく、別につくるべきだと思います。

 そして、入管行政全般については、現在の出入国管理における身体拘束制度は、収容の必要性や相当性に関する要件や期限を設けないものとなっています。無期限に、百年でも収容できるわけです。これは国際的な基準に適合していません。新たな受入れ制度を創設するに当たっては、国際人権基準に適合した入管行政の整備が必要です。

 これだけ課題のある法案です。数日の審議で決めることができるのでしょうか。できないと思います。

 外国人労働者の受入れは、目先の人手不足対策のため、使い捨ての受入れという観点でやってはだめです。この問題は、日本がどういう国と社会を目指していくのかということにかかわる、極めて重要な問題です。ぜひ、時間をかけて慎重な審議をお願いしたいと思います。

 以上で終わります。(拍手)

○葉梨委員長 ありがとうございました。

弁護士向け交渉学セミナーのお知らせ

2019-01-03

 1月6日、12日、2月10日に弁護士向けの交渉学セミナーを行います。弁護士限定企画です。
 交渉学コンサルの向展弘と私(弁護士・指宿昭一)が講師です。2人とも、NPO法人日本交渉協会交渉アナリストの資格者です。
 ぜひ、ご参加ください。

弁護士 交渉学で「短期間に高水準解決!!」 紹介やリピーターを創る顧客満足度UP!セミナー
交渉学による”主導権の戦略”で依頼者満足を実現! 3ヶ月で売上UP! を大公開!
2019/1/ 6(日) 15:00~ 暁法律事務所
2019/1/12(土) 15:00~ 暁法律事務所
2019/2/10(日) 15:00~ 暁法律事務所

<セミナー内容>

1.裁判所の考え方の変化と新しい時代の事件解決

2.交渉学による”主導権の戦略”

3.個人・小規模事務所の売上の上げ方

4.大公開!具体的成功事例

5.2019年の目標設定

6.質疑応答

(講師:Mastership 交渉学コンサルタント 向 展弘/暁法律事務所 所長 指宿 昭一 弁護士)

申込→ https://www.reservestock.jp/page/event_calendar/24076

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弁護士・個人法律事務所・小規模法律事務所に最適な経営戦略

交渉学による”主導権の戦略”とは?

“資源(強者)の戦略”に対して、少資源・小資本(弱者)でも有利に事を運ぶ戦略のことです。
交渉学、問題解決学、経営戦略、認知心理学、コミュニケーション・スキルの「ハイブリッド・メソッド」を導入することで、広告で売上を上げるのではなく依頼者満足を実現することで、事務所経営を成り立たせます。

交渉学による”主導権の戦略”が必要な理由は?

昨今は、弁護士業界も「ホームページ」「マーケティング」「集客」「広告宣伝」などの言葉を当たり前のように使うようになりました。
大手の法律事務所の中には、その資源力(資金力)でこれらに投資をし、大量に事件を受任するところも多く見らせますが、個人や小規模な法律事務所は潤沢な資金があるわけでなく、このようなやり方では太刀打ちができません。
個人・小規模事務所にはそれに相応しいやり方を実施する必要があり、それこそが”主導権の戦略”です。

交渉学による”主導権の戦略”のやり方は?

基本的には、まず受任事件の解決方法を確認・改善します。
ここで、「ハイブリッド交渉メソッド」を使うことにより、滞留していた事件をスマート&スピーディーに解決し、報酬金が早期に入金されることにより、キャッシュフローが健全化、月々の売上が上がります。
次に、商品化と相談受任方法を確認・改善することで、確実な高単価受任につなげます。
その次に、ようやくコストをかけた集客計画に移りますが、上記で資金状態が良くなっているため、ムリなく実施することができます。

謹賀新年(2019年)

2019-01-01

謹賀新年

 昨年は新たな外国人労働者受入れ制度を設ける入管法改定案が臨時国会に提出され、私は衆議院法務委員会で参考人として意見陳述を行い、質疑に応じました。また、メディアを通じて法案の問題点を指摘しましたが、同法案はほとんどそのまま成立しました。法案審議を通じて、パンドラの箱が開いたように議論が噴出しました。外国人労働者と共に生きる社会をどうやって作るのか、今年も考え、発言していきたいと思います。
 昨年6月には、偽装結婚を疑われて在留資格を失い、強制退去を命じられた中国人女性の事件で勝訴判決を得て、確定しました。11月には、技能実習生の残業代請求事件で一部勝訴しました。
 仕事に役立てようと考えて交渉学の勉強を始め、日本交渉協会の交渉アナリスト1級という資格を取得しました。
 今年も、多様な労働問題に対応しつつ、労働者と労働組合の権利の前進のために尽力したいと思います。
 本年もよろしくお願いします。   2019年 元旦

〒169-0075東京都新宿区高田馬場4-28-19
きりしまビル4階 
暁法律事務所 弁護士 指宿 昭一
電話03-6427-5902/FAX03-6427-5903

国際自動車(国際労供ユニオン)事件で都労委が不当労働行為救済命令

2018-12-10

国際自動車(国際労供ユニオン)事件で都労委が不当労働行為救済命令
                2018年12月10日、命令書交付
事件番号 東京都労働委員会・平成29年(不)45号
(2017年6月19日受付、2018年11月6日命令)
 東京都労働委員会は、2018年12月10日、国際労供ユニオンの申立てを全面的に認め、以下を主文とする命令書を交付した。
1 被申立人国際自動車株式会社7社は、申立人国際労供ユニオンと、労働者供給に関する基本契約を締結しなければならない。
2 被申立人各会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
<事件の概要>
 被申立人は東京のタクシー会社大手の株式会社国際自動車(同名の会社7社・KMグループ)。申立人は、同社の運転手が組織する労働組合である。
 被申立人は、多数派の労働組合である国際労働組合との間で、労働者供給基本契約を締結し、65歳定年後には、同労組から労働者供給をするという形式で、1年単位の定年後再雇用が行われていた。
被申立人において少数派の労働組合・全国際自動車労働組合(以下、「国際全労」が結成され、被申立人の賃金規則は実質的に残業代が支払われない違法なものであると主張して、未払残業代の支払いを求めて団体交渉を行い、被申立人が応じないので、東京地裁に提訴した。同訴訟は第1次から第4次までに及び、原告は200人を超えている。同事件第1次訴訟、第2次訴訟は最高裁に係属中である。
被申立人は、国際全労を嫌悪して、国際労働組合とは締結している労働者供給基本契約を締結しないため、国際全労組合員は定年後の再雇用が果たせないという差別的状況が続いている。被申立人は、国際全労には、被申立人の従業員以外の者(元従業員)が委員長に就任していることを理由に、国際全労との労働者供給基本契約の締結を拒んでいる。
そこで、国際全労組合員たちが、被申立人の従業員のみで国際労供ユニオンを結成して、被申立人に労働者供給基本契約の締結を求めたが、被申立人は「国際労供ユニオンと国際全労は同一の組織である。」と主張して、同契約の締結に応じない。
そこで、申立人は、被申立人による申立人との労働者供給契約の締結の拒否が、組合に対する支配介入および組合差別による不利益取扱いに該当することは明白であり、労働組合法第7条1号および同3号に違反する不当労働行為に当たることは明らかであるとして、「被申立人らは、申立人との間で、労働者供給に関する基本契約を締結しなければならない。」という命令を求めて、2017年6月19日、東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行った。
2018年12月10日10時に、東京都労働委員会は命令書を交付した。

タクシー7社、不当労働行為 都労働委(朝日新聞)
2018年12月11日05時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S13805923.html
タクシー大手の国際自動車の関連7社(東京)が、少数派の労働組合「国際労供ユニオン」と定年後の雇用契約を結ばないのは不当労働行為だとして、東京都労働委員会は10日、7社にユニオンと雇用契約を結ぶよう求める命令を出したと発表した。

国際自動車事件命令書交付について(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/12/10/03.html

国際自動車(国際労供ユニオン)事件で都労委が不当労働行為救済命令(レイバーネット日本)
http://www.labornetjp.org/news/2018/1210kokusai?fbclid=IwAR3qJUc8Gifwi8pEy6jOxFobnpgHvSZRoWypgdcDuN5b1A4KhIQqEwWJ6Rs

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