【プレスリリース】報道機関各位
9/19(木) 1週間・24時間労働で亡くなった家事労働者の過労死裁判高裁判決及び記者会見等のご案内
NPO法人POSSE 総合サポートユニオン
13:30 東京高裁正門から遺族・弁護団・支援者で入場。
14:00 東京高裁101法廷にて判決言い渡し、高裁正門から旗出し。
15:00 司法記者クラブ(※厚労省記者クラブではありません)にて遺族・弁護団・支援者で記者会見。
16:15頃 報告集会(東京都港区虎ノ門1-1-21 新虎ノ門実業会館地下1階(B1ホール)
17:00頃 終了予定
(1)原告、代理人、被告
①原告:ご遺族(夫・70代)、ご遺族(息子・40代)
②代理人弁護士:指宿昭一弁護士、明石順平弁護士
③被告:国
(2)概要
Aさん(女性・当時68歳)は、訪問介護・「家政婦」紹介会社の仲介で、認知症を患う寝たきりの高齢者(要介護度5)のいる個人宅にて、介護及び家事業務を住み込みで行なっていました。そして、2015年春、1週間・24時間労働をした後に、Aさんは心臓疾患で急死しました。
しかし、国は、Aさんが労働基準法116条2項にある「家事使用人」に該当し、労働基準法や労災保険の適用除外となるとし、Aさんの死を過労死だと認定しませんでした。国の判断を不服としたご遺族は、国に対して労災不支給決定の取り消しを求め、2020年3月、東京地裁へ提訴しました。しかし、2022年9月29日、東京地裁判決は遺族側の敗訴判決を言い渡しました。裁判所は、Aさんの「拘束時間」は1日24時間と認める一方、労災認定を判断する上での「労働時間」は、家事業務部分を切り捨て介護業務部分のみの1日4時間30分とし、「過重業務していたとは認められない」と結論付けました。
地裁判決後、オンライン署名や厚労省申し入れ、国会質問等、様々な社会的取り組みを私たちは行い、多くの報道機関にもそれらを報じていただきました。その結果、2022年10月14日には、厚労大臣も、家事労働者の実態調査を行い、今後法改正も検討すると発言がありました。2023年8月、60年ぶりに行われた実態調査の結果が公表され、家事労働者の過酷な労働環境が明らかになりました。
そして、今年2月、厚生労働省は家事労働者の適正な就業環境の確保に関する「ガイドライン」を発表し、6月には家事労働者へ労働基準法・労災保険を適用する方向で調整に入ったという報道もありました。戦後77年差別され続けてきた家事労働者の状況が少しずつ変わる可能性が見えてきています。
ぜひ、多くの報道機関の方へ高裁判決の結果について取材をお願いできましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
3、本裁判の意義
共働き世帯の増加、少子高齢化の進行、社会保障の削減等の影響で、近年、家庭内ケアの需要は急増しています。今後、さらに家事労働者として働く人は増加していくと予想されています。
2015年の国勢調査では、家事労働者(「家政婦(夫)」)の97%が女性です。社会的に必要不可欠な家事労働を担う多くの女性たちが、労働者の基本的な権利も認められないまま差別され働いています。
一方、家事労働者の人権保護は今や国際的な流れとなっており、2011年に開催されたILO第100回総会では、「家事労働者の適切な仕事に関する条約(第189号条約)」が採択されました。条約では、家事労働者は他の労働者と同じ基本的な労働者の権利を有するべきとして、「安全で健康的な労働環境の権利」、「一般の労働者と等しい労働時間」などが規定されています。しかし、日本は同条約を未だ批准しておらず、国連女子差別撤廃員会から勧告も受けていますが、無視し続けています。
今回の裁判がそのような状況を変える契機となると考えています。
4、原告(夫)の思い
私は、家事労働をしていた妻が、労働基準法や労災保険が適用されるべき「労働者」であったことを認めて欲しいだけです。「家事使用人」として働いているのは大部分が女性であり、法律の保護の枠外に置かれた状態で、社会的に必要不可欠な「ケア労働」を担っています。妻同様に、現在も法制度上差別されている女性の労働環境の改善に寄与したい、妻のような事例が今後なくなってほしい、そのために私は裁判を続けてきました。
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弁護士 指宿 昭一