私の依頼者であり、仮放免者であるモハメド・サディクさん（60歳・パキスタン人）が、4月22日に在留特別許可を獲得しました。
私は、2010年に代理人となり、訴訟を2回、再審情願を6回申し立てました。前任の弁護士と合わせると、訴訟を3回、再審情願を8回申し立てています。受任当時から、永住者の妻と共に暮らしており、入管庁の在留特別許可ガイドラインの「特に考慮する積極要素」に該当するなど、在留特別許可を認めるべきケースでした。また、サディクさんは、パキスタンで政治活動を行っていて、弾圧される危険があって日本に来たという経緯があり（難民申請はしていません。）、パキスタンに変えれば命の危険があるという事情もあります。
2023年1月17日に3回目（私としては2回目）の行政訴訟を提起し、その裁判において、裁判所から、被告国に対して、「被告は、（原告に対して）在留許可を付与できないかを検討できませんか。」という事実上の勧告ないし示唆があり、これに応ずる形で、東京入管横浜支局で、サディクさんに対して、在留特別許可が付与されたのです。裁判所がこのような勧告をしたのは、サディクさんが癌で闘病中の妻を支えて暮らしており、強制送還を行うことは非人道的だと判断したからだと思います。
入管から「送還忌避者」と呼ばれる人の中には、日本人や永住者等の家族がいるため帰国できない人が数多くいます。難民申請中で、帰国すれば命が危なくなる人もたくさんいます。そういう人たちを強制送還するのではなく、在留特別許可を与え、また、適正に難民認定をすべきです。サディクさんが在留特別許可を得たことは、そういうあるべき方向への第一歩になると思います。また、第一歩にしなければなりません。
サディクさんは、これから、同じような境遇の、在留資格のない外国人を支援するための活動を行っていくと言っています。私も、サディクさんと共に闘い続けます。
「涙が出て、言葉が出なかった」 がんの妻支えるパキスタン男性に「在留特別許可」与えられる
弁護士ドットコムニュース2024.4.23
https://www.bengo4.com/c_18/n_17483/ @bengo4topicsより
#Yahooニュース2024.4.23
https://news.yahoo.co.jp/articles/9aae61ee0ba2222b0bfcc6882ead74b4808777a4?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20240424&ctg=dom&bt=tw_up
訴訟中に在留特別許可付与「涙出た」 | OurPlanet-TV：特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー
https://www.ourplanet-tv.org/48564/
パキスタン人男性に在特許可 日本滞在35年、仮放免中
2024/04/23 共同通信
https://nordot.app/1155418479570535160?c=302675738515047521
妻の看病のため在留特別許可を、パキスタン人男性が提訴（ＴＢＳニュース）他
暁法律事務所 ２０２３．８．３０
在留特別許可に係るガイドライン
平成１８年１０月
平成２１年７月改訂
法務省入国管理局
１ 特に考慮する積極要素
（３）当該外国人が，日本人又は特別永住者と婚姻が法的に成立している場合（退
去強制を免れるために，婚姻を仮装し，又は形式的な婚姻届を提出した場合を
除く。）であって，次のいずれにも該当すること
ア 夫婦として相当期間共同生活をし，相互に協力して扶助していること
イ 夫婦の間に子がいるなど，婚姻が安定かつ成熟していること
２ その他の積極要素
（５）当該外国人が，本邦での滞在期間が長期間に及び，本邦への定着性が認めら
れること
（６）その他人道的配慮を必要とするなど特別な事情があること
