タクシー乗務員67名による残業代等・約1億4500万円を請求する集団訴訟を提訴(上信ハイヤー事件)

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「残業代ゼロ」制度を許すな!

「名目だけの時間外手当等は労基法37条の割増賃金とは言えない」

「認可された迎車回収料金を受取らせない業務命令は違法」

 

2024年1月30日、東京地裁に、タクシー乗務員67名が残業代等約1億4500万円を請求する集団訴訟を提訴した。弁護団は、指宿昭一及び谷田和一郎。

本件の被告である上信ハイヤー株式会社(群馬県高崎市・堀口直行社長)は、タクシー乗務員の賃金を次のように規定している。

「1.出来高払制運転士の賃金は、年間稼働高(消費税を除く)の50%を支払源資とする。

2.1ヵ月稼働高(消費税を除く)の42%相当額を出来高給として支給する。

3.時間外、深夜、割増は法の定めにより支給する。

4.前項による計算上生じる月額50%の差額は4カ月毎に支給する」

つまり、稼働高(営業収入)の50%を賃金として、これを、①出来高給(42%)、②残業代等の割増賃金、③差額賃金に振り分けて支払っているのである。これでは、残業等をいくらしても賃金総額は変わらないことになり、①使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,③労働者への補償を行うという労基法37条の趣旨に反することになる。国際自動車事件第2次最高裁判決等の判例は、このような名目だけの割増賃金の支払いは、時間外労働等の対価として支払われたものとはいえないとして、未払い割増賃金の支払いを命じた。本件訴訟でも、正しく支払われたとはいえない割増賃金を請求する。

また、被告は、国土交通省から認可された「迎車回送料金」を客から受け取らなければならないのに、その全部または一部を受けとらないという運用を続けたため、関東運輸局より、運賃・料金変更認可違反による行政処分を受けた。原告らは、被告から、迎車回送料金の全部または一部を受け取らないようにという違法な業務指示を受けていたため、その分の稼働高が減少し、その結果、賃金額が減少した。本件訴訟では、この賃金減少分について、債務不履行もしくは不法行為に基づく損害賠償ないし不払賃金を請求する。

 

名目的な残業代(割増賃金)が支払われているが、実質的には残業代(割増賃金)が支払われていないという「残業代ゼロ」の歩合給制度は、タクシー・トラックなどの運輸・交通産業で多く採用されており、社会的に強い批判を受けている。国際自動車事件第2次最高裁判決、熊本総合運輸事件最高裁判決等は、「残業代ゼロ」制度を認めず、労働者への割増賃金支払いを命じた。本件訴訟も、そうした闘いに連なるものである。

また、違法な迎車回送料金不収受の業務命令によって、労働者の賃金を減少させ、労働者に損害を与えた被告には、被害回復を行う責任がある。本件訴訟は、こうした会社の責任を問うものでもある。

報道

タクシー運転手67人が提訴 未払い賃金、1億4500万円支払い求め | 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20240130/k00/00m/040/309000c

残業代ゼロ」制度は許せない!上信ハイヤー乗務員67人が集団提訴 レイバーネット日本 http://www.labornetjp.org/news/2024/0130hokoku @lnjnowより

「残業代ゼロ」制度は許せない!〜上信ハイヤー乗務員67人が集団提訴 会見の動画 9分半
レイバーネット日本
https://www.youtube.com/watch?v=V46iY41fo8A

タクシー乗務員ら67人、時間外労働の未払い金など1・5億円求めて会社を提訴 : 読売新聞オンライン https://www.yomiuri.co.jp/national/20240131-OYT1T50008/

未払い賃金求めて運転手67人が群馬・高崎市のタクシー会社を提訴 東京地裁 | 上毛新聞社のニュースサイト

https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/412325

 

 

 

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