「バークレイズ証券事件」について考える~外資系企業に整理解雇の判例法理は適用されないのか?

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バークレイズ証券事件とは、世界的な金融グループに属する外資系証券会社の本部長(管理職)が解雇され、解雇が無効だとして雇用契約上の地位の確認と解雇後の賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴した事件です。原告である本部長は、グループ全体の業績の低迷と担当部署の収益も振るわないとして退職勧奨され、これに応じなかったところ、就業規則に規定された解雇事由である「会社の運営上やむをえない事由」に該当するとして解雇されました。

これは整理解雇(使用者が、経営上の理由により、人員削減の手段として行う解雇)の事案であり、判例上確立している整理解雇の4要素によってその有効性が判断されます。ところが、被告であるバークレイズ証券は、「日本の企業と外資系の雇用慣行の違いを考慮すべきだ」と主張し、整理解雇の4要素に基づかない判断を求めました。裁判所は、被告の主張を退けて、整理解雇の4要素に基づいて判断を行い、本件解雇は無効であると判断しました。

本件のように、外資系企業が労働者を解雇して、裁判において「日本の企業と外資系の雇用慣行の違いを考慮すべきだ」と主張することはありますが、日本の裁判所でそれは通りません。外資系企業だからといって、日本の労働法や整理解雇の4要素のような判例法理が適用されないということはないのです。

外資系で働く労働者のみなさんが、不当に解雇されたときに、「外資系だから争えない」と考えるべきではないです。また、退職勧奨されたときに、「これを断って、もし、解雇されたら、外資系だから争えない」と考えるべきではないです。納得できない退職勧奨に応ずる必要はないですし、解雇が不当だと思ったら、あきらめずに解雇の無効を主張して闘いましょう。

バークレイズ証券事件(東京地裁2021,12.13判決・労働判例1290号91頁)

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