「残業代ゼロ」賃金制度のトールエクスプレスジャパンに対し不払賃金請求の提訴

2016-06-14

 トールエクスプレスジャパン株式会社(代表取締役 CEO / ニール・ポーリントン、本社・大阪)では、時間外手当の大半を支払わない「残業代ゼロ」の賃金制度を採用しています。すなわち、同社の賃金計算は、時間外手当(A)を形式上支払ったうえで、能率手当の計算において時間外手当(A)を差し引いています。つまり、同社の労働者は時間外労働をしているにも関わらず、同社は、実質的に、能率手当以外の賃金に対する割増賃金(時間外手当(A))の支払いをしていないことになります。能率手当の計算において時間外手当(A)を差し引く規定は、労働基準法37条の趣旨に反するので、公序良俗に反するものとして民法90条により無効となり、同社は時間外手当(A)と同額の不払賃金(能率手当)の支払い義務を負います(国際自動車事件一審判決・東京地裁平成27年1月28日・労働判例1114号35頁、控訴審判決・東京高裁平成27年7月16日・労働判例1132号82頁参照)
 また、この規定が無効となり、能率手当の金額が増額することにより時間外手当(B)の金額も増額するので、同社はその増額分の支払い義務も負うことになります。
 このような「残業代ゼロ」の歩合給制度は、トラック・タクシーなどの運輸・交通産業で多く採用されており、社会的に強い批判を受けています。
 同社広島支店のトラック運転手8名は、このような賃金制度に疑問を持ち、労働組合(日本労働評議会トール広島分会)を結成し、同社と交渉してきましたが、6月9日の団体交渉で同社が不払賃金の支払いを拒否したので、本日14日、組合員9人(結成後1名増加)が原告となり、不払賃金請求訴訟を大阪地裁に提訴しました(第5民事部・平成28年(ワ)第5771号事件)。代理人は、暁法律事務所の中井雅人弁護士と私(指宿昭一)です。

「残業代ゼロは違法」トラック運転手らが提訴(関西テレビ・ニュース映像付)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160615-00000000-kantelev-l27

賃金規則 「残業代ゼロ」物流会社員が提訴 大阪地裁(毎日新聞)
http://mainichi.jp/articles/20160615/k00/00m/040/054000c

「残業代事実上カット」トラック運転手、物流会社を提訴 1120万円支払い請求(産経新聞)
http://www.sankei.com/west/news/160614/wst1606140080-n1.html

【関西の議論】〝ブラック賃金〟?の巧妙なカラクリ 「いくら残業しても給料同じ…詐欺だ!」トラック運転手ら法廷闘争へ(産経WEST)
http://www.sankei.com/west/news/160630/wst1606300005-n4.html

「残業代ゼロ」賃金制度のトールエクスプレスジャパンに対し不払賃金請求の提訴(レイバーネット日本)
http://www.labornetjp.org/news/2016/0614teiso

日本労働評議会HP:トール分会関連記事
http://www.rouhyo.org/news/432/

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