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労働事件勝訴判決/(株)愛永・ファルコンエキスプレス事件
「業務委託」を理由に運転手の賃金から控除された交通事故損害金等相当額、誤配送を理由に控除された違約金相当額等を請求認容

判決日 2016年7月15日(金)13時10分 
裁判所 横浜地方裁判所第7民事部
原告訴訟代理人弁護士 指宿 昭一
         同 中井 雅人

■判決の概要
1 原告(20代青年労働者)は2013年春頃に、運送事業等を行う株式会社愛永に入社(雇用契約)。
原告の賃金から、誤配送を理由に「違約金」合計6万円が控除したのは賃金全額払の原則に違反する(労基法24条1項)。よって、合計6万円の未払賃金請求を認める。
2 原告は、2014年4月1日から、(株)愛永を独立したA(商号:ファルコン・エクスプレス)に雇用される。「日当1万2千円、10%を引く(Aが仕事を回しているから)。」という契約。Aは、「ドライバー会員契約」等を根拠に、業務委託であることを主張していた。しかし、判決において実態は労働契約でることが認められた。
3 Aが、原告との合意なく、勝手に給与から「リース、保険、立替金、ガソリン」という名目で同年4月~7月の賃金から合計約45万円を控除したことを認定し、同控除額の未払賃金の請求を認めた(労基法24条1項・賃金全額払原則違反)。
  Aは、原告の事実無根の「横領」や車両事故の修理代として、約45万円を給料から控除すると主張し、同額の賃金を控除したことを認定し、同控除額の未払賃金の請求を認めた(労基法24条1項・賃金全額払原則違反)。
4 原告は、車両事故の件で、A・被告愛永社長らに呼び出され、損害額のうち30万円を一括払いするように強く迫り、労基法24条1項の趣旨から許されない賃金債権の一方的相殺を行っていることから、精神的損害(慰謝料)10万円を認めた。

■本件の意義
 運輸業界では、運転手の賃金から、違法に「違約金」、損害金、リース料、ガソリン代等を控除するということが横行している。被告愛永も、裁判の中で「大手宅配業者は誤配送等に対しては厳しい処置をとっており、被告愛永が労基法に反するのであれば、全国の大手宅配業者も労基法に違反している」旨主張している。これに対し本判決は、賃金から誤配送等を理由に違約金を控除するのは労基法24条1項から許さないと的確に労基法を適用したところに意義がある。被告愛永の主張を前提とすれば、全国の運輸労働者に波及する問題である。
 また、控除の際に使われる理由として多いのが、「業務委託であり、労働契約ではない。」であるが、本判決は原告に労基法上の労働者性を認め、労基法24条1項に基づき控除された賃金額の請求を認めたとこに意義がある。
 さらに、違法な賃金からの損害金の相殺についても、相殺時の具体的状況を認定した上で、慰謝料請求を認容しており、賃金という労働者の生活の原資を守る観点からも意義ある判断である。

 弁護士 中井雅人

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