建設業における「フリーシフト制」の労働者も年休は取れるという判決を勝ち取る

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 9月30日、横浜地裁川崎支部で、年次有給休暇の賃金を請求した訴訟で勝訴。被告である有限会社アールエス興業(資材搬入業)は、「うちは、フリーシフト制だから、年休権成立の前提である継続労働の要件を満たしていない。」という不思議な主張をしていたが、もちろん、通らなかった。
 本件の原告は、たまった年休を消化してから辞めようと考えて、年休完全消化の日を退職日とする退職届を出していた。しかし、会社が年旧聞の賃金を支払わないので、原告は、川崎北労基署に会社に年休の賃金を支払わせるように申告した。ところが、担当の労働基準監督官は、「あなたは、年休申請をした日から、別の会社で働いていたから、退職したことになる。年休の賃金支払いは不要。」と判断し、会社に対して、「申請者は、有給休暇申請の日から在籍しておらず、在籍していない者に対し、有給休暇を取得させる義務はない。」と指導をして、会社はこの指導に従っていた。
 有給休暇取得中に別の会社で働いたからといって、退職したことになるという法的根拠はない。監督官は、いったい、何を根拠に、このような判断をしたのであろうか。
 本件は、少額の訴訟だったので、横浜簡裁川崎支部に提訴したが、途中で、地裁に移送を申し立てた。金銭の問題ではなく、原告が「私には年休権がある。」ことを認めてもらいたいための訴訟だった。

<追記>
 川崎北労基署に対しては、2015年11月20日、原告、原告加盟労組である日本労働評議会及び当職で抗議の申し入れを行い、申し入れを受けた労基署職員は、原告に対する対応が不適切であることを認め、謝罪した。

川崎北労基署との交渉

川崎北労基署との交渉


川崎北労基署看板

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