非正規滞在外国人をチャーター機で一気に強制送還!?

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 法務省が、非正規滞在外国人の強制送還を強行するため専用チャーター機の活用方針を固めたそうです。昨年12月19日に毎日新聞が報道しました。

 2010年3月22日、入国管理局は、ガーナ人男性スラジュさんを本人の意思に反して無理矢理強制送還し、その途中に、スラジュさんは死亡しました。この事件後、入管は、本人の意思に反する「ムリヤリ国費送還」ができない状況に陥っています(現在行われている「強制送還」は、入管が国費で帰国費用を負担し、最終的には本人が帰国に応じるという形の送還です。)。

 強制送還強行のための専門チャーター機活用には問題があります。在留資格のない外国人の中には、①難民申請者、②日本人、永住者及び定住者の配偶者や、子どもなどの家族と共に在留している人、③就労目的の長期滞在者(入管は2004年までは、就労目的の非正規滞在者を事実上容認していた。これは、彼らを安い労働力として使いたいという企業の要求に従ったものと思われます。)など、国際人権法、憲法や人道上の理由から強制送還の対象にすべきではなく、難民認定や在留特別許可により在留を認めるべき人たちがたくさんいます。こうした人たちを対象にして、一気に強制送還することは許されません。

 現在、全国に「仮放免者」が2500人います。仮放免者というのは、入国管理局に収容されて、仮に「放免」された状態の非正規滞在外国人(在留資格のない外国人)のことです。在留資格のない外国人は、原則として入管に収容されますが、帰国できない事情があり、退去強制を拒んでいると、だいたい6ヶ月~2年くらいの収容の後に仮放免されるのです。すでに退去強制の処分が出ている人が多いのですが、裁判でこれを争っていたり、再審情願という申請をして在留特別許可を求めていたり、難民申請をして闘っています。在留特別許可や難民認定を認めるべき事情のある多くの人たちが、仮放免状態のまま日本に滞在しています。2010年に関東、東海、関西で仮放免者の会という当事者団体が結成され、在留特別許可や難民認定を求めて闘っています。

 2011年末には約2000人だった仮放免者は、昨年末に約2500人になりました。仮放免者は、外国人住民登録もできず、健康保険にも加入できず、就労もできず、生存権を否定されています。入管は、仮放免者を減らすために、ムリヤリ強制送還を復活させ、これをチャーター機を使って行おうと考えているのでしょうが、国際人権法、憲法や人道上、許されないことです。

 仮放免者を減らすには、難民認定をすべき人に難民認定を行い(日本の難民認定基準は、信じられないほど不当に厳しいのが現状です。UNHCRの難民認定ハンドブックの基準で難民認定をすべきです。)、在留特別許可を出すべき人に出すべきなのです。

 2010年に関東、東海、関西で仮放免者の会という当事者団体が結成され、在留特別許可や難民認定を求め、また、非正規滞在外国人の長期収容と仮放免者の再収容に反対して闘っています。私も、この団体と共に、入管問題に取り組んでいます。

 皆様のご支援をお願いします。

 仮放免者の会HP http://praj-praj.blogspot.jp/

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