「農事組合法人乙山農場ほか事件」労働判例1118号に掲載

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 雑誌「労働判例」10月15日号(1118号)に、私が担当した事件「農事組合法人乙山農場ほか事件」(千葉地裁八日市場支部平27.2.27判決)が掲載されていた。株式会社ではなく農事組合法人であることに配慮したのか、法人名が匿名になっている。
 労働基準法の労働時間及び休日の規定が適用されない(労基法41条1号)農業従事者である労働者について、就業規則の規定によって残業代割増等の支払が認められた事件である。被告らは、労基法41条1号が適用される場合には、就業規則による時間外労働等の割増賃金の規定も適用されないと主張したが、判決は、①同条の適用除外の定めが強行法規である労働基準法の規制を除去する規定であること、②労働基準法92条の文言も就業規則と他の規範との抵触を念頭に置くものと解されることからして、前記適用除外の定めが同条の対象とする「法令」に該当するとは解されない、として、被告の主張を排斥した。②は分かりにくいが、「労基法92条は、就業規則は法令に反してはならない、としているから、労基法41条1号に反して時間外労働等に割増賃金を付けてはいけないようにも思えるが、労基法41条1号は、ここでいう『法令』には該当しない。」という意味である。本論点については、初めての判例だと思われるが、「労働判例」の解説で触れられてないのは残念である。
 解説では、「いつの時点で、いかなる内容の雇用が合意されたかが不明確な労働者X5について、・・・『常雇用』の合意の成立が認定された点は注目されよう。」として、黙示の労働契約成立が認められた判例として意義があるとしていた。確かに、この点についても良い判例だと思う。

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