3月, 2021年

トールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決 報道と弁護団声明

2021-03-18

出来高から残業代を引く「能率手当」はアリ? 労働者側が上告、最高裁へ
3/12(金) 21:07 弁護士ドットコムニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/b50cecd6bbd667868093e86e4e7d08e60b11d6d4

トールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決弁護団声明

2021年2月26日
トールエクスプレスジャパン事件弁護団
弁護士 指宿昭一
弁護士 中井雅人

 2021年2月25日のトールエクスプレスジャパン事件大阪高裁判決(清水響裁判長)は控訴棄却(一審原告敗訴)の不当判決であった。
 国際自動車第2次最高裁判決によれば、本件賃金規則による時間外労働手当の支払いが労基法37条の割増賃金であるといえるためには、通常の労働時間の賃金と時間外手当が判別できること(判別可能性)が必要であり、判別できるというためには、時間外手当が時間外労働等に対する対価として支払われていること(対価性)が必要である。本判決もこの前提は認めている。
 本判決は、「本件賃金規則においては、能率手当を含む基準内賃金が通常の労働時間に当たる部分、時間外手当A、B及びCが労基法37条の定める割増賃金であり、当該割増賃金は他の賃金と明確に区別して支給されていると認めることができる」として、対価性を検討する前に、きわめて形式的な判断で「判別可能性」を肯定した。
 そして、対価性については、①能率手当は「集配職の業務の効率化を図る趣旨で、出来高制賃金として能率手当を設けることには合理的理由があ」るという判断を前提に、②時間外手当Bは、国際自動車の「事案とは異なり、能率手当が発生しない場合に時間外手当Bだけが支払われるという事態が発生することはな」いから、「時間外労働に対する対価として支払われるものと認められ」、③時間外手当Aについては、「時間外労働等が増加しても賃金総額が変わらないという現象自体は、いわゆる固定残業代が有効と認められる場合にも同様に生ずることであるから、それだけで本件賃金制度における能率手当が同条の趣旨を逸脱するものであると評価することはでき」ず、「労働時間に応じた賃金については」、労基法27条と労働基準規則によって「出来高払制賃金と労働基準法37条の趣旨との整合性が図られて」いるから、「実質的にみて、本件計算方法を採ることにより、売上高等を得るにあたり生ずる経費としての割増賃金の全額を集配職の労働者に負担させているに等しいと評価することはできない」として、「時間外手当Aは、実質的にみても、時間外労働等の対価として支給されるものというべき」として対価性を肯定している(この点が、国際自動車第2次最判と最も違う点である)。
 本判決の特徴は、国際自動車第2次最判が基準とした、時間外労働を抑制し、労働者への補償を行うという労基法37条の趣旨に従って、対価性及び判別可能性を判断していないことである(その代わりに重視する価値が「業務効率」である。)。労基法37条の趣旨は、判断の基準として形式的に述べられているだけで、実際の判断の中では顧みられておらず、実際の判断は労基法27条や労働基準規則に明確に違反していなければ、雇用契約と労使合意で自由に賃金規則を制定することができると考えていることである。強行法規である労基法37条よりも雇用契約や労使合意を上位に置いているとしか思えない契約自由の原則の一面的な強調が本判決を支える思想である。
 清水響裁判長は、かつて国際自動車事件第2次訴訟一審において労働者敗訴の判決を書いた裁判官である。この判決も、契約自由の原則と労使合意を労基法37条の上に置き、労基法27条などの明文の規定に反しない限り、どのような賃金規則を作ることも自由であるということを前提になされたものである。この判決は控訴審で維持されたが、上告審である国際自動車第2次最高裁判決で明確に否定され、破棄差戻された。
 これらの2つの清水判決は、契約自由の原則を一面的に強調することで、労基法37条の趣旨を否定し、「残業代ゼロ」制度としての賃金制度を容認する許しがたい不当判決である。このような判決が確定すれば、戦後労働法制が守ってきた労働時間規制が崩壊しかねないことになる。清水裁判長は、自らの判決が最高裁で否定されたことにも懲りず、亡霊のような反動判決を言い渡した。一審原告と弁護団は、本判決に対して上告・上告受理申し立てを行い、最高裁での逆転勝訴を目指す。
 現在の裁判制度は、資本主義社会における体制維持の一機関にすぎず、我々はいわば敵の土俵の上で闘っている。裁判の勝敗よりも大事なことは、当該労働者を中心に団結が強化され、闘いが前進することである。本件訴訟においても、当該労働者らは、大阪地裁敗訴判決に負けることなく、労働組合としての団結を強化して、全国の労評の仲間とともに総労働の力で闘ってきた。今回の反動判決に対しても、当該労働者らは負けずに前進するであろう。弁護団も、当該労働者及び全国の労評の仲間と共に、トールエクスプレスジャパンにおける労働運動の前進と最高裁における逆転勝訴に向けて全力で闘うことを表明する。
以上

国際自動車事件和解成立 弁護団声明・報道

2021-03-10

                  弁護団声明
                           2021年3月10日

                                  国際自動車事件弁護団 弁護士  指宿 昭一
                                              同  谷田 和一郎

「私たちには残業代が支払われていないんです。」という全国際自動車労働組合(国際全労)委員長の伊藤博さんの訴えから、この事件は始まった。ちょうど9年前、2012年3月10日、伊藤委員長から弁護団は本件の依頼を受けた。
2012年年5月21日に東京地裁に国際全労組合員である原告15名で提訴。審理が長期に及んだので、2014年10月8日には、賃金請求権の時効消滅を避けるために、東京地裁に原告14名で第二次訴訟を提訴した。
2015年1月28日、第一次訴訟で勝訴判決を得た。国際自動車の賃金規則は公序良俗違反であるとする判決である。
これを受けて、国際全労と弁護団は、原告団と組合員を拡大し、2015年9月17日、178名が原告となり、約3億円の不払残業代等を請求する第3次訴訟を東京地裁に提起した。更に、2016年4月21日、原告22名で第四次訴訟を提起。原告団は合計で205人(和解成立の時点では198人)、請求額は約3億5000円となった。
 2015年7月16日、第1次訴訟控訴審で、水野邦夫裁判長は、第一審佐々木判決と同様の結論の勝訴判決を言い渡した。
 ところが、2016年4月21日、第2次訴訟につき、東京地裁の清水響裁判長は、原告敗訴の判決を言い渡した。労基法37条の上に契約自由の原則をおくという不当な、戦後労働法制の中核である労働時間法制を崩壊させかねない判決であった。
2017年2月28日、最高裁第三小法廷で、第1次訴訟の判決が出された。主文は、東京高裁の判決を破棄し、差戻すというものだった。しかし、一審原告ら、国際全労と弁護団は、この判決は、公序良俗論ではなく、労基法37条に基づいて判断を出すべきといっているだけで、敗訴ではないととらえて闘い続けた。
 その後、第1次、第2次訴訟はそれぞれ東京高裁で敗訴判決を受け、第3次、第4次訴訟も、それぞれ東京地裁で敗訴判決を受けた。これらの敗訴判決を受けても、弁護団も原告団も怯まなかった。我々は、最高裁での逆転勝訴が当然であると考えていた。もし、最高裁がこの事件で、労働者敗訴の判決を書いたとしたら、それは「残業代ゼロ」制度を認め、労基法37条の空文化を認めるものであり、そのようなことは絶対に許せないと考えた。
 2020年3月30日、最高裁判所第一小法廷は、国際自動車事件(第1次訴訟・第2次訴訟)につき、原審(東京高裁)の一審原告(=労働者)敗訴の判決を破棄し、東京高裁に差し戻す判決を出した。一審原告勝訴の判決である。
 本件につき、2021年2月4日、9日及び22日で、4つの事件につきすべて和解が成立した。一審原告らが納得できる金額の和解金を支払うという内容の和解である。
 本件訴訟は、裁判所が、労基法37条を潜脱する「残業代ゼロ」制度を容認し、戦後労働法制の中核である労働時間法制を骨抜きにするのかどうかが問われる事件であった。最高裁は、長時間労働を抑制するという労基法37条の趣旨に反する国際自動車の賃金規則を認めず、労基法37条を守るという判断を出した。今回の和解は、この第2次最高裁判決に基づくものであり、労働者の権利擁護の闘争において大きな意義を有するものであると考える。
 なお、原告団団長で国際全労委員長である伊藤博さんは、この和解成立を見届けて同月27日に癌のため逝去された。伊藤さん。お疲れさまでした。ありがとうございました。あなたと共に闘えたことを私たちは誇りに思います。

以上

タクシー会社とドライバーらが和解、解決金4億円 “実質残業代ゼロ”の「国際自動車事件」
弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_5/n_12620/?fbclid=IwAR29Pv-ENPlhGxXOs0QGrFsmtMU0EkKYgDHy3g2ihIQmzu76acs-7glrn5Y

残業代、国際自動車が和解
2021年3月11日 5時00分 朝日新聞デジタル>記事
https://www.asahi.com/articles/DA3S14829139.html
https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASP3B6H96P3BULFA005.html

国際自動車タクシー残業代事件で勝利和解かちとる〜伊藤委員長の執念みのる
2021年3月11日 レイバーネット日本
http://www.labornetjp.org/news/2021/0310hokoku

2021年3月の報道機関等での発言等

2021-03-05

ニチイ学館206人契約更新せず フィリピン人女性48人所在不明 家事支援で来日 国・都が調査
2021年3月5日 17時50分 東京新聞(望月衣塑子)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/89688?fbclid=IwAR38THv5MJEGYFA37zxwAI61TODf_7Xetmt0VLnk0Wh8Vr3ILuBFBWQt5og
 外国人労働の問題に詳しい指宿昭一弁護士は「外国人技能実習生の問題は出ていたが家事支援労働者の問題は明らかになっていなかった。政府は外国人労働者の受け入れ拡大を進めるなら、今回のようなことが起きない仕組みを考えるべきだ」と訴えている。

タクシー会社とドライバーらが和解、解決金4億円 “実質残業代ゼロ”の「国際自動車事件」
2021年03月10日 17時48分 弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/c_5/n_12620/?fbclid=IwAR29Pv-ENPlhGxXOs0QGrFsmtMU0EkKYgDHy3g2ihIQmzu76acs-7glrn5Y
労働者側代理人の指宿昭一弁護士は、「労働時間に応じてきちんと払えとした最高裁の判断は重い」と改めて判決の意義を述べた。
そのうえで、会社の対応について、「最高裁判決を全面的に受け入れて、労働者の請求をすべて認める形で和解を成立させたことは評価できる」と話した。(記事より)

国際自動車タクシー残業代事件で勝利和解かちとる〜伊藤委員長の執念みのる
2021年3月11日 レイバーネット日本
http://www.labornetjp.org/news/2021/0310hokoku

出来高から残業代を引く「能率手当」はアリ? 労働者側が上告、最高裁へ
3/12(金) 21:07配信 弁護士ドットコムニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/b50cecd6bbd667868093e86e4e7d08e60b11d6d4
労働者側の代理人は、これも国際自動車でドライバーらの代理人も務めた指宿昭一弁護士らという、因縁のある組み合わせでした。

TBSラジオ アシタノカレッジ
「モヤモヤが止まらない!入管法ってなんだ。」
日本の入管法の問題点に迫る!指宿昭一さん、久保田徹さん
https://www.tbsradio.jp/570190?fbclid=IwAR1owecMNQ-zkiYsUY5inajpZDEMZn6U3d9gDnNMt-5E3OWzpNMGwckY0QU
ラジコ;アシタノカレッジ 3月15日放送分 http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20161010040000radiko.jp

Reforming Japan’s Immigration Laws : Ibusuki , Iwahash and Matsui
https://www.youtube.com/watch?v=bBgp_Zgc3Zw
日本外国特派員協会 会見映像 オフィシャルサイトFCCJchannel
Shoichi Ibusuki : Lawyer,
Makoto Iwahashi : NPO Posse
Yasunori Matsui : Advisor of START (Nagoya based volunteer group)

【動画あり】名古屋入管でスリランカ人女性死亡 政府の法改正案に批判の声「改善でなく焼け太り」
2021年3月27日 10時06分 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/94137?fbclid=IwAR1CwuRKYToSpl7S6PS-Z6mVZNVbMuQyEWgFOLqsl5Vd_NP0evvjVFNCO1I
26日には日本外国特派員協会(東京)で記者会見もあり、法改正に詳しい指宿昭一弁護士が「入管が管理を強化できる制度だ。自らの誤った政策で死亡者を出しておきながら、改善ではなく、焼け太りを狙っている。絶対に成立させてはならない」と訴えた。(記事より)

Pengacara Jepang Tidak Percaya Investigasi Imigrasi Jepang Atas Overstay yang Meninggal
https://www.tribunnews.com/internasional/2021/03/26/pengacara-jepang-tidak-percaya-investigasi-imigrasi-jepang-atas-overstay-yang-meninggal?fbclid=IwAR2lVEqnC7oKNh8dI2q8wMxnb8-D8AbmfUV0YcMnbCbMREAouJvX_I2_WUY
Shoichi Ibusuki pengacara senior Jepang yang banyak menangani para ilegal (overstay) di Jepang
Artikel ini telah tayang di Tribunnews.com dengan judul Pengacara Jepang Tidak Percaya Investigasi Imigrasi Jepang Atas Overstay yang Meninggal,
Editor: Johnson Simanjuntak

筑波大学の外国人学生数を「水増し」疑惑に関する弁明資料

2021-03-02

筑波大学が、世界大学ランキングを運営するタイムズ・ハイヤー・エデュケーションに対して外国人学生数を「水増し」して報告したのではないかという疑惑に関して、匿名で資料が送られてきた。
同大学が、記者会見用にメディアに配布した資料のようだ。これを見ると、同大学の主張がよく分かる。せっかくなので、ここで公開する。

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