「滞留外国人 社会生活容認」は懐柔策ですらない!

2020-09-22

 9月22日の読売新聞朝刊一面「難民申請者らに社会生活認めます…長期収容解消へ新制度」を読まれたでしょうか?
 「滞留外国人 社会生活容認/入管施設 長期収容解消へ」というタイトルから、入管が入管法改悪を諦めた、もしくは、あきらめてはいないが「アメ」の政策(懐柔策)を打ち出したものと捉えられた方もいるかと思います。しかし、この政策は「アメ」の政策(懐柔策)ですらなく、むしろ非正規滞在の外国人への管理強化政策であると思います。社会面の最後に、記者が「アメとムチ」の政策と書いていますが、ミスリードです。これは、「ムチとムチ」の政策です。

1 「監理措置」制度は、仮放免を厳格化し、監理人がいなければ収容が解かれない制度になると思われます。監理人を通じて収容が停止された外国人を管理するシステムです。監理人の選定システムや監理を怠った場合監理人の責任によっては、現在の仮放免制度よりも相当に厳しい管理制度になります。しかも、監理措置は原則2回目までに限定するとのことです。
 「3か月程度の金銭支援」も検討などと言っていますが、実現可能性は低いでと思われます。仮に実現しても、3ケ月経過後は飢え死にしろというのでしょうか? 収容されていない期間は、就労を可能にすべきであり、それで足ります。
2 「準難民」認定も意味不明。今、やるべきことは、難民認定の適正化です。それをやらずに、「準難民」を制度化するとはどういうことでしょうか? なお、現在でも、難民不認定の場合、人道配慮の理由での在留特別許可が得られる場合があります。これを適正に運用すれば、難民認定されない外国人も救済は可能です。「準難民」制度は、この制度の看板を変えるか、もしくは要件を厳格化する可能性すらあります。
 「準難民」制度で、日本基準の難民として認定されなかった者が救済されるとは思いません。
3 こんなことをするよりも、在留特別許可の運用を適正化し、6か月以上の収容はやめて仮放免を出し、仮放免の場合にも就労を許可すればすむことです。
4 送還拒否罪はあくまでもやるつもり、難民申請者の送還停止効については記事では言及されていませんが、止めるとは思えません。
5 入管法改悪に反対する市民団体や国会議員の動きやメディアからの批判に、入管も焦っているのでしょう。そこで、入管が譲歩しているかのようなイメージを振りまくための情報を特定の新聞社にリークしたということだと思います。

 弁護士 指宿昭一 

【独自】難民申請者らに社会生活認めます…長期収容解消へ新制度
9/22(火) 5:03配信 Yahoo!ニュース 讀賣新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/2a7fdde3e8f9553de314c584a29847bd4569f566?fbclid=IwAR2XiaE2yRuUVDI19ReZg7ivmE5FyAgXh-eTF7cogt_OLQ7M6OuPObYzEG0

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