秋本製作所不当労働行為再審査事件で解雇撤回が認められました

2012-12-30

 3年前から取り組んできた労働委員会の不当労働行為事件で、解雇撤回を認める命令を勝ち取りました(11月30日)。千葉県労働委員会では、組合役員(日本労働評議会千葉県本部)が書面作成を担当し、私はアドバイスと調査・審問期日に代理人とし出席するという形での関わりでしたが、中央労働委員会では書面作成も引き受け、解雇された分会長、労働組合と共に闘ってきました。解雇事件は、千葉地方裁判所松戸支部でも争っており、これも私が担当している事件です(2013年3月29日13時10分に判決言渡し)。

 組合活動を理由に懲戒処分をしたり解雇をするのは、労働者の最も基本的な権利を踏みにじるものであり、絶対に許さないことです。本件については、千葉県労委及び中労委で勝利しましたが、会社は未だに中労委命令に従わず、分会長の職場復帰も、バックペイ(解雇後の賃金の支払)もしていません。

 中労委命令を会社に守らせるため、労評と共に闘っていきたいと思います。

<事件の概要と経緯>

 11月30日、秋本製作所不当労働行為再審査事件(平成23年(不再)第19号及び24号)の中労委命令が交付され、労働組合分会長に対する懲戒処分及び解雇が不当労働行為であると認められ、会社に対し分会長に対する各懲戒処分及び解雇の撤回・バックペイ、並びに文書交付を命じた初審命令(千葉県労委平成21年(不)第5号)が維持されました。

 労評秋本製作所分会の分会長は、組合活動として行われた労働局への申告(内部告発)の取下げ拒否を理由として懲戒処分をされ、それに引き続いて行われた就業規則違反を理由として解雇されました。これ対して、労評が千葉県労働委員会に不当労働行為救済申立てを行い、私は代理人弁護士として審査に参加しました。千葉県労委は、内部告発取り下げ拒否を理由とした懲戒処分及び解雇は不当労働行為に当たるとして、会社に対し、分会長に対する各懲戒処分及び解雇の撤回・バックペイ、並びに文書交付を命じ、その余の申立てを棄却しました(労働判例1024号94~95頁)。会社は、これを不服として、中央労働委員会に再審査を申し立てました(なお、労評も、他の懲戒処分及び不誠実団交が不当労働行為と認定されなかったことを不服として再審査を申し立てました。)。

 中央労働委員会は、次のように判断しました。

 本件申告は、分会長自身が体験した事実に基づく認識により行われ、その認識も相当の判断により醸成されたものと評価でき、正当な組合活動と認められるので、分会長に対する申告の取下げ拒否を理由とした懲戒処分は、不当労働行為に当たる。また、解雇理由とされた分会長の行為は、形式的には就業規則に定める解雇の事由に該当するが、解雇に値するほど重大なものではない。一方、会社は、組合の抗議行動を問題視して抗議するなど、組合活動を萎縮させようとしていたことがうかがえる。したがって、本件解雇は、不当労働行為に当たる。

 中労委のホームページに、この命令のプレスリリースが掲載されているので、興味のある方はご覧ください(↓)。

 
秋本製作所不当労働行為再審査事件
(平成23年(不再)第19号及び24号)命令書交付について

http://www.mhlw.go.jp/churoi/houdou/futou/dl/shiryou-24-1203-1.pdf

平成24年12月3日
【照会先】
第三部会担当審査総括室
報道関係者各位室長瀬野康夫
(直通電話) 03-5403-2172
秋本製作所不当労働行為再審査事件
(平成23年(不再)第19号及び24号)命令書交付について
中央労働委員会第三部会(部会長都築弘)は、平成24年11月30日、標記事件に関する命令
書を関係当事者に交付しましたので、お知らせします。
命令の概要は、次の通りです。
【命令のポイント】
~組合活動として行われた労働局への申告(内部告発)の取下げ拒否を理由とした分会
長に対する懲戒処分、及びそれに引き続いて行われた就業規則違反を理由とする解雇
が労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たるとした事案~
本件申告は、分会長自身が体験した事実に基づく認識により行われ、その認識も相当の判断
により醸成されたものと評価でき、正当な組合活動と認められるので、分会長に対する申告の
取下げ拒否を理由とした懲戒処分は、不当労働行為に当たる。
また、解雇理由とされた分会長の行為は、形式的には就業規則に定める解雇の事由に該当す
るが、解雇に値するほど重大なものではない。一方、会社は、組合の抗議行動を問題視して抗
議するなど、組合活動を萎縮させようとしていたことがうかがえる。したがって、本件解雇は、
不当労働行為に当たる。
Ⅰ 当事者
1 9 号再審査申立人: 株式会社秋本製作所(以下「会社」)(千葉県柏市)
24号再審査被申立人従業員約50人(平成21年12月現在)
2 4 号再審査申立人: 日本労働評議会(以下「組合」)(東京都新宿区)
19号再審査被申立人組合員約450人(平成21年12月現在)
Ⅱ 事案の概要
1 本件は、会社の下記行為(以下「申立事実」)が、労組法第7条各号の不当労働行為に当たると
して、組合から平成21年12月10日(以下「平成」の元号を省略)等に千葉県労働委員会(以
下「千葉県労委」)に申立てがあった事案である。
⑴ 21年3月10日の団体交渉(以下「団交」)に代理人弁護士(以下「弁護士」)のみで対応し
たこと、会社側窓口を弁護士としたこと(労組法第7条2号)
⑵ 同年2月ないし3月ころ、会社のK課長らが行った第二組合結成活動に関与したこと(同条3
号)
⑶ 助成金申請手続きに係る労働局への申告の取下げに応じなかったこと等を理由に、分会長に対
し、同年4月22日付け訓戒、同年6月2日付け減給、及び同月10日付け出勤停止の各懲戒処
分をしたこと(同条1号、3号)
⑷ 分会長が、業務命令に従わず、午後の成形作業に従事しなかったことを理由に、同年9月10
日付け出勤停止、同年10月8日付け降格、同月29日付け出勤停止の各懲戒処分、及び同年1
0月分賃金で午後分の控除をしたこと(同条1号、3号)
⑸ 同年12月3日付けで、分会長を普通解雇したこと(同条1号、3号)。
⑹ 組合に対し、22年3月25日付け通知書を送付したこと(同条3号)。
2 初審千葉県労委は、上記1の申立事実のうち、⑶及び⑸の行為が労組法第7条1号及び同条3号
の不当労働行為に当たるとして、会社に対し、分会長に対する各懲戒処分及び解雇の撤回・バック
ペイ、並びに文書交付を命じ、その余の申立てを棄却したところ、会社及び組合は、これを不服と
して再審査を申し立てた。
中央労働委員会
Central Labour Relations Commission,JAPAN Press Release

Ⅲ 命令の概要
1 主文
本件各再審査申立てをいずれも棄却する。
2 判断の要旨
⑴ 申立事実⑴について
弁護士は、会社から団交につき委任を受け、安全衛生の点につき法律的観点から回答書を交
付し、今後必要に応じ会社役員の出席も検討する旨回答していることから、会社の対応は、
労組法第7条2号の不当労働行為とはいえない。
⑵ 申立事実⑵について
社長が第二組合結成に関与したとは認められず、K課長は使用者又は使用者の利益代表者に
近接する地位になく、同課長が社長の意を体して第二組合結成の活動を行ったとも認められな
い。したがって、K課長の第二組合結成活動について、会社に労組法第7条3号の不当労働行
為は成立しない。
⑶ 申立事実⑶について
ア会社は、申告が虚偽の申告であるなど正当な組合活動ではない旨主張するが、申告は、分
会長自ら体験した事実に基づく認識により行われ、その認識も相当の判断により醸成された
ものと評価できることなどから、正当な組合活動と認められる。
イしたがって、各懲戒処分は、正当な組合活動を理由とするものであり、かつ、分会長に対
して行われたものであるから、労組法第7条1号及び3号の不当労働行為に当たる。
⑷ 申立事実⑷について
分会長が業務指示に違反し会社の警告に従わなかったこと、指定された業務に従事していな
い以上賃金控除もやむを得ないものであることから、各懲戒処分等は正当であり、労組法第
7条1号及び3号の不当労働行為とはいえない。
⑸ 申立事実⑸について
ア分会長の行った行為は、就業規則第47条第⑤号の解雇事由に該当するが、解雇に値する
ほど重大なものではなく、加えて、分会長が職場内でICレコーダーを持ち歩き、相手に無
断で会話を録音していたことなどの情状を考慮しても、解雇を正当化することはできない。
イ一方、会社は、組合の抗議行動を問題視して抗議し、分会長に対し不当労働行為に当たる
懲戒処分を行い、組合通信等の記載に関し刑事告訴を含め法的手段をとる旨通告するなど、
組合活動を萎縮させようとしていたことがうかがえる。
ウしたがって、解雇は、組合員ないし組合活動を理由に行われたものであり、かつ、分会長
に対して行われたものであるから、労組法第7条1号及び3号の不当労働行為に当たる。
⑹ 申立事実⑹について
会社が組合活動を阻害する意思で通知書を組合に送付したとは認められず、労組法第7条3
号の不当労働行為とはいえない。
⑺ 以上のとおりであるから、本件再審査申立ては理由がない。
【参考】
初審救済申立日平成21年12月10日(千葉県労委平成21年(不)第5号)
初審命令交付日平成23年3月29日
再審査申立日平成23年4月4日(中労委平成23年(不再)第19号)
平成23年4月13日(中労委平成23年(不再)第24号)

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