障がい者のための労働法(研修講演)@八戸
2014-09-05
本日、八戸で開催された「東北・北海道肢体不自由 児施設療育担当職員研修会」で、「障がい者のための労働 法」という研修講演をしました。
働く障がい者の権利の問題については、多くの事件を通じて取り組んできたのですが、今回、こういう機会を与えていただき、問題を整理したり、考えたりすることができました。問題のポイントは、障害により労働能力が低減した労働者の権利をどのように保障していくのかということではないかと思います。
1 働く障がい者と労働法
(1)労働者=事業等に使用される者で、賃金を支払われる者
*就労支援事業場で作業を行う障がい者は?
労働契約を締結している場合/作業への参加が自由で指揮監督を受けない場合
(2)労働者であれば、労働法によって保護される
残業代、最低賃金、労働組合加入等
(3)労働能力が低減した労働者の権利保障をどうするか?
最低賃金、労働災害、解雇、休職等
2 働く障がい者の権利
(1)差別禁止(均等取扱い)
憲法14条1項、労働基準法3条
改正障害者雇用促進法(募集・採用、賃金決定、教育訓練、待遇)
(2)合理的配慮義務
判例(後述)、改正障害者雇用促進法(特性に配慮した措置を取る義務)
(3)雇用義務(障がい者雇用率の義務付け)
改正障害者雇用促進法(民間2.0%、官公庁2.3%)*施行時期
3 使用者に求められる配慮とは何か?
(1)片山組事件(最高裁判決)
休職中の労働者が従前の業務(現場監督)に復帰できず、軽易な業務(図面作成等)につかせることが可能な場合、賃金支払いを拒否できるか?
(2)日本ヒューレット・パッカード事件(最高裁判決)
精神的な不調のために欠勤を続けている労働者に、治療の勧奨、休職などの措置をせずに懲戒解雇をできるか?
(3)Aサプライ事件(東京地裁八王子支部判決)
知的障がい者の死亡事故。使用者の安全配慮義務の内容は障がい者の能力を考慮したものであるべきか?
4 まとめ
働く障がい者の権利擁護のための、企業の社会的責任とは?
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