労働運動の将来

日本労働評議会第14回大会

昨日(10月7日)、私が顧問をしている労働組合(日本労働評議会=労評)の定期大会でした。労評弁護団を代表した挨拶で、日本の労働運動の将来について発言しました。

「既存の労働運動は、大企業と公務員中心であり、中小零細企業にはほとんど組合はなく、非正規労働者も組合に加入していない。本当に生活困難に直面している労働者の権利を、これまでの労働運動は守ってこなかった。そういう状況に対して、中小未組織労働者や非正規労働者を組織化し、真の労働運動を作り上げる必要がある。いわゆるユニオン運動、地域合同労組運動は、そういう取り組みとして注目に値するが、個々の労働者の労働相談に応じて、対応していくだけの運動では、本当に労働者の利益を守る運動として作り上げることはできない。労働相談をきっかけにして、職場に労働組合を作り、職場の労働組合を基礎にして、地域に労働運動の拠点を作っていかなければ、日本を変えるような労働運動にはならない。労評は、そういう労働運動を作り上げるために躍進すべきであるし、労評弁護団としてもこれを支えていきたい。」という趣旨です。 

労働運動が、一部の労働者の既得権を守るもののようにとらえられ、これを攻撃することが社会的正義のように描かれることが多くなってきていますが、このような風潮は誤っていると思います。中小零細企業の労働者や非正規労働者は、労働法が守られていないことが普通であり、劣悪な賃金・労働条件の下で、人間として生きる権利を脅かされ、屈服と忍従を強いられています。そういう労働者の権利を守ることこそが、これからの労働運動の課題です。大企業労働者、公務員労働者も、そういう労働者の闘いに連帯してこそ、自らの権利を守ることもできると思います。そういう労働運動を作っていかないと、労働者の権利全体の地盤沈下をきたしてしまうと思います。

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