5月22日、私が共同代表を務める実習生弁連が、以下の声明を出しました。同日、ヒューマンライツ・ナウと共に記者会見をしました。
【声明】「育成就労制度」に関する国連特別報告者等の共同書簡に対する日本政府回答に強く抗議し、制度の抜本的見直しを求める
2026年5月22日
外国人技能実習生問題弁護士連絡会 共同代表 指宿 昭一
2026年1月7日、国連人権理事会の特別手続(現代的形態の奴隷制に関する特別報告者等4者)は、日本政府に対し、新設される「育成就労制度」が抱える人権上の重大な懸念を指摘する共同書簡を送付した。これに対し、日本政府は4月20日付で回答を行ったが、その内容は労働者の人権保護を著しく軽視するものであり、当連絡会は強く抗議する。
第一に、労働者からの手数料徴収の問題である。国連書簡は、送出機関への支払いを月額報酬の2か月分まで容認する省令規定が、借金による強制労働の温床になると警告し、ILO第181号条約等の国際基準との整合性を問うた。しかし日本政府は、同条約は他国での手数料徴収の規制まで義務付けていないとして、自国の管轄権のみを盾に条約違反を否定した。 これは国際基準が明確に掲げる「労働者負担ゼロ原則」の精神をないがしろにする極めて消極的な解釈である。日本という受入国が「2か月分までの手数料なら許容される」という明確なシグナルを送出国に与えることは、現地での手数料徴収を事実上正当化するものであり、ILO条約の趣旨に照らして問題があるだけでなく、国内法にも違反している。政府はこのような容認方針を直ちにやめるべきである。
第二に、転籍(転職)の制限である。国連書簡は、転籍のために厳しい要件や受入企業の高額な費用負担が課され、実質的に転籍が不可能となる懸念を示した。しかし政府は、1〜2年の転籍制限期間や、転籍先から元の機関への補償金(育成・配置費用の比例負担)支払いなどの厳格な要件を「労働者保護と技能育成のため」と正当化した。これらは労働者を特定の企業に縛り付けるための囲い込み策にほかならず、労働者の自由を奪う実態を維持するものである。
当連絡会は、育成就労制度が国際人権法および国際労働基準に真に適合するものとなるよう強く求める。政府は、形式的な法解釈による弁明をやめ、労働者が借金による束縛や転籍制限による人権侵害から確実に保護されるよう、制度の抜本的な見直しを行うべきである。
以上